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2017年01月19日20:10

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

不定期に書いている、最近読んだ本の備忘録。


●「富山から拡がる交通革命」 (森口将之著、交通新聞社)

 富山は公共交通を軸にした町づくりが着々と進められている。富山港線のLRT化に端を発し、富山地鉄市内電車の環状運転を可能にした路線の新設、JR高山本線の利便性向上など、次々と例が上がる。これらは、乗物の側から見た移動ではなく、人の側から見た、人と環境に配慮した移動という考えに基づくものである。本書は北陸新幹線開通前の発行だが、北陸新幹線開通を機に、さらに新たな改革が生まれることへの期待も述べられている。一地方都市に過ぎない富山が、なぜ欧州のような先進的な公共交通政策が実現できたのかを解き明かす本である。


●「科学者としての宮沢賢治」 (斎藤文一著、平凡社新書)

 宮沢賢治といえば詩人で童話作家だが、農林学校を出て農学校教諭となり、のちに砕石工場の技師となるなど、経歴からいえば理科系の人なのである。といっても、この本は賢治の科学的業績を述べたものではない。賢治の作品を、現代の科学的知見を手掛かりに、新たな視点で見ようというものである。初期の詩、「銀河鉄道の夜」など、アインシュタインに通じるような空間論や四次元感覚があるし、「雨ニモマケズ」などから見られる「デクノボウ」の発想は、小さないのちを守ることであり、現代の核の危機への警鐘にもつながるものであるという。少し分かりにくい本だが、面白い視点だと思った。


●「クラウドからAIへ」 (小林雅一著、朝日新聞出版)

 AI−人工知能の研究は、一時的に盛り上がっては行き詰るということを繰り返してきた。ここに来て「ディープラーニング」が脚光を浴びて、「今度は行ける!」となりかけたものの、果たしてどうだろうか。近年は、いわゆる「ビッグデータ」をどう活用するかということで、アップル、グーグル、フェイスブックが火花を散らしている。Siri、ワトソンや、自動運転など、いろいろなものが出てきてはいるが、一方で「多量のデータを統計的に処理する技術に過ぎず、`知能’というようなものではない」という見方もある。AIは今後どのように発展するのだろうか。うまくいけばビッグビジネスにつながる可能性もある。元人工知能学会員の私としても、面白い本であった。


●「昔ばなしの謎」 (古川のり子著、角川文庫)

 桃太郎はなぜ桃から生まれ、犬と猿と雉を味方に付けたのか。かちかち山はなぜかくも残酷な仕打ちをする話なのか。花咲爺さんはなぜ灰を撒くのか。浦島太郎が玉手箱を開けるとなぜたちまち老化するのか。昔ばなしは不可解で謎めいた話ばかりだが、神話や民間信仰と絡めて見ると、共通の世界観が浮かび上がってくる。それは「この世」と「あの世」をつなぐ、死と再生の話であり、それぞれの話が共通する軸を持っているのだということが読み解けるのである。なかなか興味深い本であった。


●「川崎・たちばなの古代史」 (村田文夫著、有隣新書)

 武蔵國橘樹郡とは、現在の川崎市のほぼ全域と横浜市の一部に相当する地域である。この橘樹郡の古代史を探るという本である。従来、橘樹郡の郡衙は影向寺の周辺と想定されていたが、高津区千年伊勢山台に郡衙の正倉の遺構が発見されて、古代の川崎市の成り立ちが徐々に明らかになってきた。(橘樹郡衙とは、古代の「川崎市役所」のことだと、分かりやすくたとえている。)  かなり突っ込んだ話が多く、古代史に興味がないと、新書だと思って軽く読もうと思ってもなかなか難しい本だと思うが、川崎市民として、地元川崎の原点ともいうべき古代橘樹郡の成立史は、大変興味深いものであった。
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