今日は、ブラームスの室内楽を聴きに行った。「愛深きブラームスの世界」と題する演奏会である。大ホールで聴く大編成のオーケストラもいいが、小さなサロンで聴く室内楽もいいものだと思い、行くことにした。
今日のプログラムは次のとおりだ。
・クララ・シューマン:3つのロマンス
・ブラームス:ヴァイオリンソナタ第3番
・ブラームス:チェロソナタ第2番
・ブラームス:ピアノ三重奏曲第3番
荒川以津美(Vn)、山中直子(Vn)、松葉春樹(Vc)、井上さゆり(Pf)、本多昌子(Pf)、
島田三津起(Pf)、鷺谷宰(Pf)
会場:汐留ベヒシュタインサロン (14:00開演)
この演奏会を企画したのは、Kompanie Brahms というグループであり、今日の出演者でもある。東京芸大の同期仲間が、某SNSで意気投合して「ブラームスの室内楽を全曲やりたい」ということで集まったものだという。きっかけは、ヴァイオリンの荒川さんが何年か前に、ブラームスに縁のある土地をめぐるヨーロッパ旅行をしたことらしい。荒川さんは読売日本交響楽団のメンバーでもあり、ついでに言うと、私と小学校・中学校の同級生でもある。(すなわち、今日の演奏者は全員同年代ということだ。)
会場は100人以下の小さなサロンで、今日初めて来た。ベヒシュタインのピアノのショールームも兼ねている場所である。今日は第1回演奏会で、テーマは「スイス トゥーンの風景の中から」となっている。トゥーンはブラームスが50歳代前半に夏を過ごした避暑地で、ここで書かれた作品が今日のプログラムだ。
その前に、クララ・シューマンの3つのロマンスが、山中さん、本多さんのデュオで演奏される。「愛深きブラームス」ということなら、クララも取り上げておかねばならないということだろう。クララらしい優美なロマンス曲で、演奏会の幕が開けた。
ヴァイオリンソナタ第3番は荒川さんと島田さんのデュオだ。この前に、荒川さんによるトークがあった。前述の旅行で訪れたスイスのトゥーンの思い出を、荒川さんが撮影した写真(演奏会プログラムに載っている)と合わせて語った。これから演奏する3曲は、ブラームスが美しい湖の見える景色で作った曲である。
ブラームスのヴァイオリンソナタは3曲とも好きだが、3番は短調であるためか、1番と2番とはやや趣が違うような、内省的な音楽というような気もするが、荒川さんのヴァイオリンは、そのあたりも含めて、さすがの演奏であった。あまり生で聴く機会の多くなかったブラームスの室内楽だが、まずはヴァイオリンソナタを、じっくりと曲の魅力をあますところなく聴かせてくれた。
休憩をはさんで、チェロソナタ2番は、松葉さん、鷺谷さんのデュオだ。この曲が、避暑地トゥーンでの最初の作品ということである。(そういうことも、今回解説を聞くまであまり考えたことなかった。) 男性2人の演奏だからという訳ではなかろうが、力のこもった熱い演奏であった。チェロの松葉さんが楽章毎に汗を拭いていた。それほど熱い演奏だったのだ。4楽章構成の曲なのに第3楽章が終わってから拍手が少し入ったのはなぜだろう。
最後は、荒川さん、松葉さん、井上さんのトリオで、ピアノ三重奏曲第3番である。これも名曲で、大好きな曲である。3つの楽器がどのように絡んでいくか、CDだけでは分かりにくいところが、視覚も伴うとよく分かる。荒川さんが全体を引き締めている感じで、これも素晴らしい演奏であった。
あっという間に終わってしまった演奏会という感じだが、これから毎年6月に、ブラームスの室内楽全曲演奏を目標にして実施するそうだ。もっとも来年も日付だけ決めた状態で、準備はまだとのことである。
このあとは、ワインが出されて、演奏者と客が歓談する場となった。こういうのもサロンコンサートならではである。ワインは今日のテーマにちなんだスイスワインで、トゥーンのあるベルン州の南にあるヴァレー州産のワイン、「プティタルヴィン(白)」と「ピノ・ノワール(赤)」であった。演奏会終了後、客は一旦会場の外に出て、先ほどまで演奏していた音楽家たちが、テーブルを並べたり、グラスやお皿を置いたりと準備に忙しい。(演奏家がスタッフや雑用係も兼ねるのも、いろいろ大変そうだ。)
荒川さん以外は知っている人はいなかったが、同じ音楽を聴いた同士なので話は盛り上がる。荒川さんの友人の女性6人には、荒川さんから「小中学校の同級生で、クラシックオタクです」と紹介される。プロの音楽家から見てもオタクに見えるのか...。 先日5/22に読響の演奏会に行った話をしたら、「今回、エクセルシオールを演奏するまで、ステンハンマルなんて聞いたことなかった」などという。「そんな曲まで知ってるんだもん」ということらしい。でも、日本のプロオケのステンハンマル認知度は大体こんなところかもしれない。別の方とも、オケの裏話など楽しい話もいろいろ聞けて、最後に「読売日本交響楽団 事務局長」と書かれた名刺をいただいた。「いづみちゃんの小学校時代はどうだった?」と何人かに訊かれたが、そういうこともみなさん興味あるようだ。
演奏会後の歓談も含めて楽しいコンサートだった。毎年6月(昨年は7月)にあった「北欧の風音楽会」がなくなって、寂しい夏となりそうだったが、新たな楽しみが出来たのは嬉しい。

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