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2026年09月24日15:25

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『Tony』 2026年作品

6.5/10

監督:マット・ジョンソン
出演:ドミニク・セッサ、エミリア・ジョーンズ、ダグマーラ・ドミンスク、リッチ・ソマー、スタヴロス・ハルキアス、レオ・ウッドール、アントニオ・バンデラス

後に料理人、そしてベストセラー作家となったアンソニー・ボーデインの19歳の頃を描いた作品。

奨学金をもらって作家になるはずだった青年トニー(ドミニク・セッサ)は、その当てが外れてしまう。しかし、意中の年上の大学生(エミリア・ジョーンズ)には奨学金をもらったと言ってしまう。

彼女が夏にマサチューセッツ州プロヴィンスタウンでバイトすると聞き、後先考えず自分も向かってしまうが、やがて金欠に。そこでレストランで働くことになり、シェフ(アントニオ・バンデラス)から薫陶を受ける。

セッサのための映画。

セッサを『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』で初めて見たとき、70年代からそのまま出てきたような若者に驚いた。

その後『グランド・イリュージョン/ダイヤモンド・ミッション』で観たときには、上の世代に必要以上に反発する若者を演じていたが、現代劇が合わないのか、どこか上滑りしている印象だった。

そして今回、70年代半ばというセッサにとって実によくフィットする時代背景の中で、まだ何者になるか決まっていない、向こう見ずでナイーブな若者を演じている。ウェルメイドな青春映画といった感じ。

近年の70年代を舞台にした映画は、セットや雰囲気の再現が本当に素晴らしい。

ただ、実際アンソニー・ボーデインのことをほとんど知らない自分からすると、物語としてはアンソニー・ボーデインでなくてもまったく成立する映画でもある。単純に「70年代青春映画をもう一度作ってみたい」という意図も感じた。

そして、これは70年代を知る世代、あるいは若い頃にデジタルに触れなかった大人のための青春映画なのではないか、とも感じた。

本当は現代を舞台に、今の若者が持っている無鉄砲さや初々しさをきちんと見つめ、若者自身が共感でき、大人も彼らを多少なりとも理解できるような、もっと挑戦的な青春映画が作られてほしい。

セッサ自身にも、そろそろ70年代という抜群に居心地のいい場所から抜け出して、新しいフィールド、新しい役柄に挑戦してほしいと思う。まだまだこれからの俳優なのだから。

そしてバンデラスが良い味を出している。年齢を重ねたことで生まれた包容力を生かした父親的な役柄を好演。若者たちが無茶をする映画の中で、彼が作品の重心になっていた。

また、近年良質な映画を観ていると気がつけばレオ・ウッドールが出ているが、本作でも相変わらず素晴らしい。

なお、実在のアンソニー・ボーデインの最期のパートナーはアーシア・アルジェント。

父ダリオ・アルジェントの映画を『サスペリア』以来見続けてきた自分としては、なんとも言えない気分になりました。
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