最近読んだ本の、備忘的メモ。
●「高宮麻綾の退職願」 (城戸川りょう著、文藝春秋)
「高宮麻綾の引継書」の続編である。親会社に出向した麻綾は、そこでも意気込み、新たな事業に向けて動き出す。パワハラ疑惑をかけられ、ハラスメント講習を受けさせられたり、内部に密通者がいるのか新たなビジネスの情報が漏洩し、他社に先を越されたりしつつも、果敢に戦い続けるのである。過激に突っ走りすぎて懲戒解雇寸前になったり、海外に飛ばされたりもするが、それでもめげずに、新たなアプローチで、全社一丸となって乗り越えていくのである、痛快お仕事小説。
●「遊園地は鉄道によってつくられた」 (塩地優著、交通新聞社)
遊園地にはなぜか乗物の遊具が多い。その代表的なものはジェットコースターだろうが、それ以外にも、鉄道や自動車のようなものが多い。それもそのはずで、遊園地は鉄道会社が乗客誘致戦略として沿線に作ったものが多いのだ。実際、遊園地の乗物は鉄道技術の応用で出来ている。鉄道会社系列の遊園がいくつも出来たのはもっともなことである。今は大型テーマパークの時代になり、従来の鉄道会社系列の遊園地からは主役が移ってはいるが、鉄道やその技術が関係していることには変わりないだろう。
●「場がわかれば世界がわかる」 (竹内薫著、講談社ブルーバックス)
電磁場、量子場、重力場と、物理学では「場」という言葉が出てくるが、天才たちの軌跡を追いながら、分かりやすい例えを交えて解説し、なんとなく分かったような気になる(でも、ある程度は物理学の素養は必要)本である。電磁場では、マクスウェルの歯車模型などからその姿を解き、量子場では、量子の生成と消滅を、ファインマン図を使って解説し、重力場では、おなじみアインシュタインの一般相対性理論に基づく重力の考え方などを解説。この手の本は、時々読みたくなって、似たようなテーマの本を繰り返し読んでいる気がする。
●「変態」 (ニュートン編集部編、ニュートンプレス)
成長の過程で全く違った姿に変身をとげる生物たちについて、その変態のメカニズムや、そもそも変態をする理由などを解説した本である。なかでも昆虫の変態はよく知られているが、それは「歩く消化器官」から「翅のはえた生殖器」への変化である。カエルも典型的な変態生物だが、それは生物が海から陸へとあがっていった古代の記憶ともつながっているという。身体の構造を変化させて淡水魚と海水魚を行き来するサクラマスも一種の変態だ。クラゲやフジツボの固着生活と浮遊生活の変化なども不思議な変態だが、まだ謎が多いという。ひとことで言えば、変態とは究極の生存戦略なのである。
●「青ノ果テ」 (伊与原新著、新潮文庫)
岩手県の花巻農芸高校に東京から転校生の深澤がやってきた。伝統の「鹿踊り部」で活躍していた壮多は、怪我のためメンバーを外される。同じ高校に通うのは幼馴染の七夏。そして3年生の三井寺と出会い、地学部を立ち上げる。そんな中、突然七夏が姿を消すが、当初の計画通り、夏休みを利用して、深澤、壮多、三井寺の3人は、七夏抜きで宮沢賢治ゆかりの地を巡る自転車旅を敢行する。そして深澤、壮多、七夏をめぐる関係が明らかになっていく。宮沢賢治の作品をベースに、高校生たちのひと夏を描いた小説である。これは面白かった。なお、花巻農芸高校は架空の学校で、物語もフィクションだが、モデルは宮沢賢治が教鞭をとった花巻農学校であるとのこと。
ログインしてコメントを確認・投稿する