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2026年04月09日23:22

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【音楽】 樋口紀美子ピアノリサイタル ~シューマンと乾春男

今日は、樋口紀美子ピアノリサイタルを聴きに行った。
プログラムは次のとおりである。
   
 ・シューマン:子供の情景
 ・シューマン:交響的練習曲
 ・乾春男:プレリュード
 ・乾春男:ペルソナ
 ・乾春男:ノヴェレッテ
 ・乾春男:ピアノソナタ

   ピアノ:樋口紀美子
   会場:浜離宮朝日ホール (19:00 開演)

樋口紀美子のリサイタルを聴きに行くのは2021年4月以来5年ぶりである。その時も乾春男の作品が2曲、「プレリュード」と「ペルソナ」が演奏されたが、今日はさらに2曲、合計4曲も演奏されるので、これは聴きに行かないわけにはいかない。

前半はシューマンの作品が演奏される。シューマンは乾春男にとって「導きの星」だったらしく、このようなプログラムになったのだろう。まずは有名な「子供の情景」だ。文字通り子供の情景を描いた作品だが、いろいろな想いが込められているのだろう。第6曲まではほぼ切れ目なく演奏し、ここで一呼吸おいて、ゆっくりと第7曲「トロイメライ」に入った。この間も何か意味があったのかもしれない。続いて「交響的練習曲」である。演奏は「交響的」というのを強く意識したようで、どっしりとした雰囲気で進んだように感じた。

休憩のあとは乾春男の作品だ。乾春男は20歳にて自ら命を絶った作曲家で、作品の数は非常に少ない。そもそも樋口はなぜ乾作品を取り上げたのか、5年前には知らないで行ったのだが、当時のプログラムの解説を読んで、樋口紀美子は乾春男の姪であることを初めて知った。今日は知った上で聴きに行くのである。乾の作品は演奏機会が多いとは思えないので、樋口が積極的に取り上げないと埋もれてしまうだろう。樋口も演奏前に「会場にいらっしゃる若いピアニストの方も、もし素敵な作品だと思ったら弾いて下さい」と訴えていた。

「プレリュード」と「ペルソナ」は生で聴くのは2回目だ。「プレリュード」と「ペルソナ」の5曲がまるで一体の作品かのように続けて演奏された。前回聴いた時も感じたが、個性的な作品ながら、なんとなく素敵な雰囲気もするのである。「調性が定まらない」とか「独特の和声」などと解説されるが、まさしくそんな感じで、不思議な感覚だけどなんかいい、という曲なのである。「ペルソナ」は作曲者の乾自身の人間性のいろいろな側面を描き出したとも考えられるらしい。

このあとは生では初めて聴く2曲だ。「ノヴェレッテ」と「ピアノソナタ」の4つの楽章も、また続けて演奏される。「ノヴェレッテ」はシューマンを意識したタイトルらしいが、雰囲気がシューマンに似ているというわけではない。短い曲の中にドラマを詰め込んだような、なかなか濃い作品だと思う。「ピアノソナタ」も、4つの楽章をフルに使って多くの要素を含んだような作品といえると思う。親しみやすいメロディーから入ると思いきや、「独特の和声」や「大胆な展開」によって、多彩に変化していくのである。

全てのプログラムが終わったが、さらにアンコール演奏がある。乾春男の「インテルメッツォ」と「バガテル」である。乾のピアノ作品は、結局ほぼ全部演奏したことになるのだろうか。2曲目の「バガテル」は、乾が親しい友人の誕生日に贈った私的な作品だが、その方から「紀美子さんに弾いてほしい」と楽譜を渡されたので、演奏することになったそうである。

乾の作品は全て20歳前の作なので、まだ粗削りな部分もあるだろうが、このように演奏されることによって、作品は生き続けていくのだろう。今日はいい演奏会だった。
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