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2026年03月28日20:41

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「白鷺立つ」憎しみ合う理由

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”天明飢饉の傷痕いまだ癒えぬ比叡山延暦寺に、失敗すれば死といわれる〈千日回峰行〉を成し遂げようとする二人の仏僧がいた。歴史に名を残すための闘いは、やがて業火となり叡山を飲み込んでいく”(amazonより)

以前、千日回峰行というものを知った時には驚きました。
比叡山延暦寺で平安時代から続く荒行で、7里半(30キロ)の山道を5年間毎日のように歩いた後、9日間、断水・断食・不眠・不臥の状態で真言を唱え続ける。
最後に衰弱しきったその身体で、堂内を歩いて3周するという凄まじい行。
途中で命を落とす者もいるし、生きて失敗すれば自害を迫られる(江戸時代まで)。
文字通り通算千日間、足掛け7年間にも及ぶこれを成し遂げれば、大行満大阿闍梨として認められ、歴史に名を残すことになるのです。

恃照(じしょう)はこれに挑んだが、最後のあと数歩というところで倒れ、満ずることができなかった。しかしある理由があって自害することも叶わず、「半行満」「生き恥」として、蔑みと好奇の目に晒され生きることとなる。
そこに現れた若い弟子、戒閻(かいえん)。
これがとんでもなく傲岸不遜な僧で、ことごとく師である恃照に反目する。
この対立する二人の、憎み合いの様が凄いのです。

”恃照の心中は、その刹那怒り一色に染め上げられた。人の逆鱗を的確に探し当て、かつ最も不快な触れ方を思いつく才覚という意味では、この者の右に出る者はあるまい。恃照は戒閻を視界から葬り、自らの感情を何とか抑えんと、大きく息を吸った”という具合。

同じように出生に秘密を持ち、これほどまでの荒行を成し遂げようとする高僧の師弟が、憎しみ合いながら生きる意味を探す物語です。
一体どう着地するのかとハラハラしながら読み進めて、ラストに息を呑みました。
白鷺とは、白き麻の浄衣をその身に纏い、山道を跳ぶように歩く姿から来ている、回峰行者を指す言葉なのだそうです。

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