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2025年08月01日19:49

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【読書】 最近読んだ本 備忘禄

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「日下を、なぜクサカと読むのか」 (筒井功著、河出書房新社)

地名と古代語の関係について、共通する各地の地名を調べて考察した本である。標題の日下の他、笠置、頬枕田、鳥居、太市、国、山中、妻、アオ・イヤ、賽の河原について取り上げている。日下は日の当たらない場所、笠置も同じく日陰地を表しているという。頬枕田(つらまきだ)はツルマキと読む地名から円形の田を指し、鳥居のトリとは境のこととする。イチは巫女との関係を述べる。山中と中山の違い、妻の意味すること、青は現在使われている色の青ではなく、もっと広く使われ葬地を指すという。著者独自の視点もあって、必ずしも一般的に認識されている説ばかりではないが(そもそもそんな研究をしている人が少ない)、実際に現地を訪れて調査したり、地図を解読したりして、一定の説得力はありそうだ。


●「その復讐、お預かりします」 (原田ひ香著、双葉文庫)

商社で社長秘書をしていた美菜代は、男に裏切られて会社も辞めることになった。凄腕の「復讐屋」の噂をきいて事務所を訪ねるが、依頼料が高額すぎて払えず追い返される。しかし、強引に復讐屋の押しかけ秘書になってしまい、仕事を手伝うことになる。そこで「復讐」の方法を真似ようという考えだ。その後さまざまな「復讐」の依頼が来るが、復讐屋の成海は直接的な行動は何もしないように見える。でも、いつの間にか依頼人も納得してしまうような結果になり、誰も傷つくことなく平和に「復讐」が完遂されていたりするのである。美菜代も最後に自身の「復讐」を遂げようとするが、結局はどうするのがいいか分かるのである。物騒なタイトルとは裏腹のコミカルな小説である。


●「フクロウ准教授の午睡」 (伊与原新著、文春文庫)

学長選挙を間近に控えた地方国立大学。そんな大学に袋井准教授がやってきた。専門は西洋建築史であり、昼間は眠そうにして無気力に見えるのに、夜になると活発に動き出すという「夜行性」の人間で、フクロウ准教授とあだ名されている。そして、学長選挙をめぐる様々な駆け引き、その中で暴かれる有力候補のスキャンダル。それらは、なぜかフクロウ准教授が思わぬ形で暗躍して暴いているのである。そもそもフクロウ准教授が突然この大学にやってきた目的は何なのだろうか。結局学長選挙は有力候補が消えたために、落ち着くところに落ち着き、フクロウ准教授の真の目的(?)も最後は果たせるのである。フクロウ准教授がこの大学に在籍していた数か月は、彼の午睡(シエスタ)だったのかもしれない。


●「数学の窓から」 (小倉金之助著、河出書房新社)

2025年の新刊本のようなのに、著者名を見て「あれ?」と思ったが、やはり1953年刊行の本を新字新仮名遣いに改めたものとのことである。数学史を専門とする数学者による古典的名著の復刊であるが、お気楽なエッセイ集ではなく、数学者らしい視点も持って、深く切り込んでいるような内容の濃い本である。「数学と民族性」については、ある数学者の理論について、少ない例証に基づく強引な展開に厳しい批判を浴びせたり、「数学の大衆化」については、大衆化とはそもそも何かを分類した上で、数学者・科学者が何をすべきかを説いている。一方で、数学を離れて荷風の文学と自身の関わりについて書かかれていたり、学問と原論の自由について語ったり、読書についての私見を述べたり、内容は多岐にわたる。常に社会を意識していた数学者の真骨頂であり、書かれた時から半世紀以上を経た今読んでも、考えさせられることが多い本であった。


●「潮来を、なぜイタコと読むのか」 (筒井功著、河出書房新社)

タイトルと著者名から、今回1冊目に書いた本の関連書であることは明らかだが、こちらは難読地名に焦点を当てて、その語源を探るという本である。著者も冒頭で書いているように、地名の由来には、こじつけや言葉遊びのようなものが結構多く、もっともらしく語られていたりするが、実際に現地の地形や文化や歴史的背景から考察していけば、そのような地名由来説がいかに荒唐無稽な「おとぎ話」であるかが分かるのである。この本では具体的な地名を66箇所挙げて、それらが何に由来するのかを詳細に考察していく。確証がなく一つの仮説としているものについては、そのことを明記しており、決めつけをしないのも研究者の姿勢として素晴らしい。
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