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2025年03月08日20:31

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【音楽】 葵トリオ かつしかリサイタル

三寒四温などといわれる季節だが、まさにそんな日々である。しかも「寒」と「温」の日の気温差が激しすぎる。今日は真冬に戻ったような寒さだ。そんな日ではあるが、午後は青砥に行った。葵トリオの演奏会を聴きにいくためである。

今日のプログラムは次のとおりである。

 ・ベートーヴェン:創作主題のための14の変奏曲
 ・ファニー・メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 ニ短調
 ・ドヴォルザーク:ピアノ三重奏曲第4番「ドゥムキー」

   演奏:葵トリオ (ピアノ:秋元孝介/ヴァイオリン:小川響子/チェロ:伊東裕)
   会場:かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール (14:00 開演)

まずはベートーヴェンから始まる。有名な「大公」や「街の歌」といった番号のついた三重奏曲ではなく、若きベートーヴェンが作曲した単一楽章の変奏曲である。冒頭のユニゾンによる主題からして、いかにもベートーヴェンという感じがするのだが、奏者3人の息もぴったり合って乱れがない。そのあとは変奏していくのだが、ピアノのソロがあったり、ヴァイオリンが主役になったり、チェロが主役になったりする変奏もありながらも、3つの楽器が絶妙に絡み合って展開していき、聴いていても飽きることがない。最後は盛り上がってビシッと決め、素晴らしい演奏が終わった。

つづいてはメンデルスゾーンだが、フェリックスではなくファニーの方である。この曲は今日初めて聴くが、それ以前に実はファニーの作品はあまり馴染みがない。今日はそれが聴けるいい機会である。やはり弟の作品と雰囲気が似たところも多いなという印象だが、特に第1楽章など、むしろフェリックスの作品よりもドラマチックで情熱的に感じた。弟の有名なヴァイオリン協奏曲の一節に似た箇所が一瞬聞こえたような気がしたのは気のせいか。作品としてはヴァイオリンが主役のように書かれているようでもあり、小川さんも上半身を大きく揺らしながら弾いていたのも印象的だった。お姉ちゃんの作品もなかなか良いぞ。他の作品もこれから少し聴いてみたくなった。

休憩のあとはドヴォルザークの「ドゥムキー」だ。前半の2曲ともまた雰囲気が違い、哀愁を帯びたゆるやかな旋律と熱狂的な激しい旋律が目まぐるしく変化しながら展開していく。これが「ドゥムカ」なのだろう。「ドゥムキー」は「ドゥムカ」の複数形ということで、要は各楽章に「ドゥムカ」の要素が入っているのだ。こちらはチェロが主役となる箇所が多いようで、「おいしいところ」はチェロが担っている感じだ。録音だけを聴いているとなんとなく流してしまうが、こうやって生で聴くと、視覚的にも楽器間の動きがよく分かり、それも含めて楽しめるのである。

今日のプログラムが終わり、最後にアンコール演奏があった。ハイドンの「ジプシートリオ」から第3楽章である。秋元さんは「有名なハイドンのジプシートリオ」と説明したが、実は私はよく知らないのであった。しかし、演奏が始まると聞いたことがあるような気がしたのは、ジプシー音楽に共通するものがあるからだろう。

葵トリオは、現在活躍しているピアノ三重奏団の中でも特に素晴らしいと思っている。名手をただ3人集めても名三重奏団になる訳ではないが、葵トリオは個々が名手であるのはもちろんだが、三重奏団としての音楽的センスが抜群だと思っている。今日も素晴らしいとしかいいようがない演奏だった。会場の外に出るといっそう寒くなっていたが、気分は上々だ。
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