今日の夕方は初台に向かった。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の演奏会に行くためだ。
プログラムは次のとおりである。
・ブラームス:交響曲第3番
・伊福部昭:交響頌偈「釈迦」
指揮:藤岡幸夫/合唱:東京シティ・フィル・コーア
会場:東京オペラシティ・コンサートホール (19:00開演)
ブラームスと伊福部昭という大好物の組合せでは、聴きに行きたくなるに決まっている。特に伊福部の交響頌偈「釈迦」は生で聴く機会も少ないので貴重だ。開演の20分前から指揮者によるプレトークがあるというので、それに間に合うように急いだ。藤岡氏のトークは客席の笑いも多く、それでいて演奏する作品に対する思いも伝わるので、いつも楽しい。
まずはブラームスの第3番から始まる。この曲は、どちらかというと晩秋を思わせるような感傷的な曲というイメージになりがちだが、今回は穏やかで幸福な気分になるような演奏だった。第3楽章の有名な旋律も哀愁に満ちたというよりは、ゆっくりと寛いでいる感じの、明るい雰囲気に聞こえた。あくまでも個人的な感覚だが、お馴染みの超有名曲でも、いろいろな感じ方ができるのだと思った。そのようなわけで、ブラームスの交響曲の中では一番地味な(でもないか?)第3番も、やはり素敵な曲であることを再認識できた演奏であった。
休憩のあとは、伊福部の「釈迦」である。交響頌偈などというのは聞き慣れない人も多そうだが、伊福部ファンならお馴染みだ。「カピラバスツの悉達多」、「ブダガヤの降魔」、「頌偈」の3つの楽章から成り、釈迦が安楽な生活を捨てて出家するまでの前半生、幾多の煩悩と闘い悟りを開くまでの苦行と瞑想、そして仏陀となり境地に達するまでを描いている。
演奏が始まると、冒頭の数小節、いや最初の音を聴いただけで伊福部作品と分かるような響きだ。第2楽章から合唱が加わるが、男声合唱は釈迦の悟りを妨げようとする悪魔の攻撃、女性合唱は霊肉煩悩を意味している。藤岡氏のプレトークでは、合唱部分は崇高な宗教音楽のようになりがちだが、実はそうではなく、男声合唱は荒々しく攻撃的に、女声合唱はいやらしくエロくしないといけないという。実際の演奏は、男声合唱の荒々しさはなんとなく感じたが、女声合唱はやはり美しい音楽になってしまうなあと思った。でも、私としてはこの部分がこの曲で一番好きなところではある。それを「美しいなあ」と感じるのは、やはり私は煩悩のかたまりなのだろう...。第3楽章でも合唱が加わり、徐々に高揚にていって、最後は壮大に盛り上がって終わる。実に素晴らしい「釈迦」の演奏であった。聴きに行って良かったとしかいいようがない。
伊福部は釈迦に関しては、バレエ音楽と映画音楽も書いている。そして、最後にこの交響頌偈に至った訳だが、交響頌偈には映画「釈迦」内の音楽も一部流用されている。そんな訳で、明日は予定のない休日なので、映画「釈迦」のDVDでも見ようと思う。
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