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2024年11月07日20:04

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【読書】 最近読んだ本 備忘禄

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「片山杜秀のクラシック大音楽家15講」 (片山杜秀著、河出文庫)

この本では、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパン、ワーグナー、マーラー、トスカニーニ、フルトヴェングラー、カラヤン、バーンスタイン、マリア・カラス、カール・リヒター、カルロス・クライバー、グレン・グールド、吉田秀和の15人を取り上げている。片山氏の著書にしては、意外と(?)オーソドックスなラインナップだが、そこはやはり「極私的な体験」に基づく評論ということで、独自の視点で語られる。著者はまず伊福部昭に心酔し、そこから現代音楽を中心に聴き始め、そのあとでいわゆる「一般的なクラシック音楽作曲家」へと広げていくという、普通の音楽ファンとは逆の入り方をしている。前半で取り上げた作曲家も、映画やTV番組などから入ったものもあり、それゆえに独特の見方をしていたりするが、結構本質をついているところも多いような気がする。なかなか面白い本であった。


●「新 謎解きはディナーのあとで」 (東川篤哉著、小学館文庫)

前に「謎解きはディナーのあとで」シリーズを読んだことがあるが、その新シリーズが出ていたらしい。文庫になって初めて気付いた。多くの企業を束ねる宝生グループ総帥の令嬢である宝生麗子は、国立署に勤務する刑事である。もちろん金持ちの令嬢であることは隠している。そこに、迷推理を繰り広げるナルシストな風祭警部が警視庁から戻ってきて、さらにド天然な新米刑事の若宮愛里が加わる。富豪の家で発見された首吊り死体、鍵のかかった土蔵で発見された老人の遺体、シェアハウスで殺害された看護師、アパートで発見された若い男性の遺体、など難事件に挑む刑事たち。捜査が行き詰って、ディナーのあとで麗子が執事に事件の概略を話すと、鋭い推理であっさりと解決してしまうのである。「お嬢様、寝言は寝ていらっしゃるときに、おっしゃっていただけますか」など、執事の「暴言」も健在。


●「古本食堂」 (原田ひ香著、ハルキ文庫)

急逝した兄から神保町にある鷹島古書店を引き継ぐために、北海道から上京した鷹島珊瑚。その珊瑚の親戚で、大学院で国文学を専攻している鷹島美希喜も、その古書店に前からよく顔を出したこともあり、経営素人の珊瑚を手伝うことになる。珊瑚の様子を気にする美希喜の母、古書店のビルの店子である出版社の社長、その出版社の営業マン、古書店の客である作家志望の若者など、いろいろな人と関わりながら、珊瑚の老後の人生や美希喜の進路など、悩みながらも形になっていく。「フィクションであり現実のものとは関係ありません」と断っているものの、実在する店がそのまま出ていたりするし、そうでないものも神保町に詳しい人なら、モデルとなった場所もなんとなくイメージできそう。話中に登場する本も全て実在するものだし、その本に食を絡めて各章のストーリーが展開している、なかなか面白い本である。


●「日本料理史」 (原田信男著、講談社学術文庫)

一口に日本料理といっても、その意味するところはかなり広く、また時代とともに変化しながら現在の形になっているのである。この本は、料理を軸にした日本文化史といった内容であり、旧石器時代から令和までの、壮大な料理史を語っていく。本格的に米を採り入れたのは弥生時代であるが、古代の食事も現代とはだいぶ様子が違っている。時代は過ぎて戦国時代になると、茶の湯文化や懐石料理といったものが現れてくる。そして江戸時代には料理文化が大きく花開くのである。明治以降は西洋料理が入ってきて、形を変えながら「日本料理」として定着していく。さらに国際化・多様化の進む現代へと向かうのである。現在日本料理と言っているものも、もともとは海外に起源を持つものも多く、そうした何でも取り入れて自分たちのものにしてしまうというのが、また日本料理の一面であるともいえる。予想していたよりも中身の濃い、ハードな本であった。


●「宇宙の哲学」 (伊藤邦武著、講談社学術文庫)

著者は物理学者ではなく、哲学が専門の方のようで、よく読んでいる宇宙物理学の本とは違った視点で書かれており、難解なところもある内容であった。宇宙の歴史は有限か無限か、宇宙はどのように生まれたのか、時間の誕生以前には何かあったのか、といった問題には、ビッグバンやインフレーションなど、一定の説はあるが、改めて「自然哲学」として、これらの難問を考えてみようということで、ケプラー、パスカル、ニュートン、カント、パースらによる宇宙の謎をめぐる探求を追っている。理論物理学者の野村泰紀氏による巻末の解説には、補足や訂正とも取れるようなことも書いているが、哲学と科学の協働という作業を通してこそ未解決の問題に挑めるのかもしれないと結んでいるのが興味深い。
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