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2022年04月05日20:22

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

最近読んだ本の、備忘的メモ。

●「ベートーヴェンと日本人」 (浦久俊彦著、新潮新書)

クラシック音楽と聞けば、おそらくほとんどの人が真っ先に思い浮かぶ作曲家がベートーヴェン。年末になると「第九」が各地で演奏されるが、これも世界的には珍しい日本の風物詩。この本は、日本人とベートーヴェンの関わりを、西洋クラシック音楽受容史という視点で述べたものである。文明開化の名のもと、西洋の文化が入ってくる。ベートーヴェンの音楽も明治時代になって、初めて接することになる。しかし、実際にその音楽を聴くよりは、活字で音楽に触れることが多かった。日本にも本格的にオーケストラが出来、山田耕筰や近衛秀麿が活躍する。蓄音機により録音で音楽を楽しむことも出来るようになり、やがて「第九」が日本人の魂にさえなっていくのである。


●「丘の上の賢人」 (原田マハ著、集英社文庫)

「旅屋おかえり」の続編、というより、連載時に書かれたが「旅屋おかえり」書籍化の際に未収録となった作品ということで、順番からいえば、角館の後、内子の前の2番目の旅。丘えりかは北海道の出身だが、事情があってずっと帰れないでいる。TVの旅番組でも北海道は避けてきた。ところが、今回の依頼の旅先は札幌と小樽。最初は断るつもりだったが、依頼主のほろ苦い過去の話を聞き、受けることにする。依頼主は東京で成功したアクセサリーデザイナー。しかし、丘の上にじっとしている男性の動画をたまたま見たことで、昔の記憶が蘇る。その男性は「あの人」なのか。札幌にいる姉との確執もあった。そして今回も、「おかえり」が予想以上の「成果物」をもたらすのである。


●「高山本線の昼と夜」 (西村京太郎著、祥伝社文庫)

先月読んだ本がいまいちだったので、別の本で西村京太郎氏追悼。あまり売れていない画家、緒方孝太郎が殺された。緒方は下呂温泉に逗留して、飛騨高山祭を題材にした最後の大作を描きあげていたが、その絵も同時に消えていた。売れない貧乏画家がなぜ長期間温泉旅館に逗留できたのか。その金はどこから出てきたのか。そこに浮かび上がった女性。特急ひだ号は切り離し作業で高山駅に5分停車する。緒方は特急ひだ号に乗ったその女性と、毎日会っていたことが分かる。そして、売れないはずだった画家を、知られざる天才画家と評する人たちの出現。やがて美術界の闇の部分が見えてくる。犯人が明らかになる箇所はあっさりし過ぎている気がするが、まあ面白かったといえる。


●「国造−大和政権と地方豪族」 (篠川賢著、中公新書)

大和政権の地方官として、地域の有力な豪族が任命された国造(くにのみやつこ)。だが、その実態は分かっていない部分が多く、諸説入り乱れているのが実情である。そんな国造について、いつどのようにして生まれたのか、そもそも国造制とは何なのか、国造の氏姓や称号はいかなるものなのか、そして大化の改新にて国造がどうなったのかを、詳細に考察して書いた本である。記紀の記述も正確な史実とはいえないところがあるし、その他文献も完全に信頼できるものは存在しないため、結局は一つの仮説になってしまう。国造について詳しく読むのは初めてで難解な箇所は多いが、古代史を読み解くことはロマンを感じるものである。もう少し勉強してみたくなる。


●「怪獣生物学入門」 (倉谷滋著、インターナショナル新書)

数々の怪獣映画に登場した怪獣を、形態進化生物学者の視点で考察をしたものである。所詮空想の世界の荒唐無稽な産物だと片付けてしまってはつまらない。なぜ怪獣がそのような形をしているのか、それは生物進化の過程の中で、どのように位置付けられるのかを詳しく考察していくと、いろいろなことが見えてくるのだ。そもそもゴジラは爬虫類なのか哺乳類なのか。シン・ゴジラの乱杭歯に関する劇中台詞はどう解釈すべきか。キングギドラと地球上の生物との類縁性は何か。ガメラやギャオスはどのように誕生したと見るべきか。ドゴラの形状は何に由来するのか。人間がマタンゴ化することとは何を意味するのか、等々、実に面白い本である。
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