mixiユーザー(id:12784286)

2018年04月10日20:16

380 view

【読書】 最近読んだ本 備忘録

不定期に書いている、読んだ本の備忘的メモ。

●「殺人交響曲」 (蒼社廉三著/日下三蔵編、戎光祥出版)

久しぶりに、日下三蔵編の「ミステリ珍本全集」の1冊。蒼社廉三という名前はこの本で初めて知った。標題の「殺人交響曲」は、楽団員のひき逃げ事件に端を発して次々と起こる死の連鎖。散逸した楽譜に秘められた謎の暗号、そして自作交響曲の演奏会で、指揮者は第4楽章の最後の一音節を残して...。 「紅の殺意」は、川口の鋳物工場地帯で起きた交通事故に不審なものを感じた刑事が関係者を訪ねるうちに、女社長の殺人事件に発展する。戦記ミステリの「戦艦金剛」は艦内で見つかった怪文書から不可解な事件に発展。さらに「地球が冷える」、「大氷河時代」、「地球よ停まれ」、「宇宙人の失敗」といったSF短編まで掲載。忘れられた作家の作品ではあるが、どれも面白い。


●「食道楽」(上・下) (村井弦斎著、岩波文庫)

明治30年代にベストセラーとなった新聞小説である。春の巻から冬の巻までの全4巻に付録が付く、長大な小説である。文学者の大原満は大食漢。春の巻の冒頭が落語的雰囲気だ。文学者仲間の中川とその妹お登和、小山夫妻、広海子爵とその娘の玉江、大原の田舎の従妹などの人物がからみながら、ひたすら料理についての蘊蓄が展開される。その主役はお登和嬢。器量よし、気立てよし、その上料理が得意で知識が豊富。話中に登場する料理は、和洋中含め実に六百数十種。ただの美食礼賛小説ではない。むしろ、高い金を出して高級料理店で食事をするよりも、家庭でいかにすぐれた料理を生み出すかが話の中心である。いわば、良い食材の選び方や料理方法の啓蒙小説であり、現在にもそのまま通じる「食」の思想がここにある。(写真は、平塚にある村井弦斎公園)


●「巡り逢う才能 音楽家たちの1853年」 (ヒュー・マクドナルド著/森内薫訳、春秋社)

1853年。ブラームス19歳、ヨアヒム21歳、ワーグナー39歳、リスト41歳、シューマン42歳、ベルリオーズ49歳。この本の物語は、ブラームスがハンブルクの生家から旅立つ1853年4月から、シューマンがライン川に身投げする1854年2月までの10ヶ月間にだけ焦点をしぼったもので、音楽家たちの幾重にも重なった出会い、そこに起きた出来事を、史料に基づいて綴っている。この1853年こそが、ヨーロッパにおける音楽史上の「奇跡のような一年」であったという。一人の音楽家を描いた、いわゆる個人の伝記とは違った視点で見てみると、興味深い話が浮かび上がってくる。


●「空気の発見」 (三宅泰雄著、角川文庫)

少し読み応えのある本が続いたので、ここらで軽い科学読み物を。昭和37年初版の本の再販である。自然科学の名著として、多くの人が科学を志すきっかけを作った本といわれている。小中学生向けの本であるが、内容は高校化学レベルだ。「空気」がどのような成分で構成され、どのような性質を持つのか、「空気」をめぐる発見の歴史を追いながら、その内容を解説していく。難しいことを小学生にも分かりやすく書くということが、いかに素晴らしいことかを示す見本のような本である。これこそ一流科学者のなせる業である。

0 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年04月>
日 月 火 水 木 金 土
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930