mixiユーザー(id:12784286)

2017年08月20日21:03

241 view

【音楽】 東京交響楽団演奏会 〜「3人の会」と千住オペラ

今日は、東京オペラシティに東京交響楽団の演奏会を聴きに行った。
プログラムは次のとおりである。

 ・芥川也寸志: 弦楽のための三楽章「トリプティーク」
 ・團伊玖磨: 管弦楽幻想曲「飛天繚乱」
 ・黛敏郎: 饗宴
 ・千住明: オペラ「滝の白糸」から序曲/第3幕

   指揮:大友直人
   ソプラノ:中嶋彰子、メゾソプラノ:鳥木弥生、テノール:高柳圭、合唱:東響コーラス、他
  
   会場:東京オペラシティ・コンサートホール (14:00開演)

日本人作曲家の作品みの演奏会であり、しかもこの魅力的なプログラムでは行きたくなるに決まっている。前半は「3人の会」の作曲家の作品1曲ずつ、後半は千住明のオペラを演奏会形式で上演するものである。今日のプログラムで知っていたのは芥川の「トリプティーク」と黛の「饗宴」のみで、團の「飛天繚乱」と、メインプログラムである千住の「滝の白糸」は初めて聴く。演奏会で初めて聴く作品というのも楽しみである。

「3人の会」の3人は、作風もそれぞれ異なるが、「3人の会」の目的は演奏会にかかる資金を「割り勘」にして自らの作品が演奏される機会を作ろうというだけであり、それぞれの作品自体には互いに干渉しなかった。だからこそ、それぞれの個性が生きた作品が生まれてきたのだろう。その3人の作品が続けて演奏されるのが前半である。

最初は弦楽のみで演奏される芥川の「トリプティーク」だ。何度も聴いていて耳に馴染んでいる曲だが、生で聴くのは久しぶりかもしれない。芥川作品のエッセンスをギュッと詰め込んだような作品で、軽快な第1楽章ではヴァイオリンソロもかっこいい。終楽章は完全に芥川節。師匠の伊福部のような土臭さはあまりなく、むしろ「都会的」(?)なのが芥川らしいといえる。まずは素晴らしい演奏でスタートである。

2曲目は、管楽器や打楽器を加えて少し編成が大きくなり、團の「飛天繚乱」である。これは前述のとおり初めて聴く作品だが、聴き終わって非常に気に入ってしまった。飛天というのは、天を舞って仏を讃える天女のことだが、タクラマカン砂漠の仏教遺跡の壁面から大同雲崗、洛陽龍門の石窟、敦煌の莫高窟、東大寺大仏殿前の八角燈籠や宇治の平等院などで見た飛天をイメージして作ったという。私はこの曲を聴きながら、4年前に宇治平等院で見た「雲中供養菩薩像」が浮かんだ。そんな、たまたま見ただけの忘れかけていた「雲中供養菩薩像」を思い出すとは、この曲のイメージがストレートに伝わってきたのだろう。その像同様、どこか愉し気でまた趣のある音楽なのである。圧巻はフルートのソロで、飛天の奏でる笛のイメージだろうが、オケも指揮者も手を止めてフルートだけが鳴り響く数分間は、まさに天上の響き。この曲は、また聴きたい。せめてCDでも出ていないだろうか。

3曲目は、さらにサクソフォーン5本も加わり、黛の「饗宴」だ。だんだん編成が大きくなっていく。10分ちょっとの曲ながら、これまた芥川、團の作品ともがらりと雰囲気が変わり、強弱の振幅も大きく、いろいろと変化に富んだ展開であり、何だか分からないうちに盛り上がって曲が終わるという不思議な曲で、この曲が好きかと聞かれると微妙だったが、3人の今日の作品の中では、一番面白かったかもしれない。まさにそういう雰囲気を十分に味わえるのが、生で初めて聴いた「饗宴」であった。

休憩のあとは千住明のオペラだ。千住の作品は、実はあまり積極的に聴いているとはいえない。数々のTVドラマや映画の音楽を作曲しているというが、TVはほとんど見ないし、映画はすごく偏っているし、あまり馴染みがないのだ。千住明の作品のCDも1枚持っていたかなという程度。もちろんオペラ「滝の白糸」も、全く初めてだ。今回は序曲と第3幕のみが演奏される。(当初の予定では第3幕のみだったが、序曲が追加された。) オペラの台本は黛まどかさんである。

指揮者とともに、中嶋さん(白糸役)、高柳さん(欣弥役)、鳥木さん(欣弥の母役)の主役級3人が登場し、指揮者の横に座る。他の歌手はオーケストラの中に紛れ込み、合唱は最後部に位置している。金沢を舞台にした、女水芸人「滝の白糸」を巡る物語である。助けられた馬丁に想いを寄せる白糸、その馬丁は欣弥と名乗り、母を助けるために学問を止めて馬丁になったという。その話を聞いた白糸は仕送りを申し出る。白糸と欣弥は離れながらも互いを想い、欣弥の母も見知らぬ支援者に会う日を待っている。ある日、白糸は興行の帰りに金を奪われる。呆然とした白糸に狂気が宿り、そばにいた老夫婦を刺殺してしまう。と、ここまでが第2幕までの話。第3幕は裁判の場面だ。欣弥は検事代理になっていた。白糸は最初は知らぬふりをするが、自ら犯した罪を語りはじめる。欣弥はそれが手柄となって出世するはずだ。それが欣弥への想いでもあった。白糸の潔さを讃える傍聴人、全てを悟って嘆き悲しむ欣弥の母。白糸の極刑が確定し、「あなた無しには生きられぬ」と言い残し...。

序曲が、TVドラマの音楽などを多く手掛けている千住らしく、分かりやすく聴きやすい音楽であり、このあと切れ目なく、いきなり第3幕に続く。主役3人はしばらくは出番がない。合唱や脇役がやいのやいのといろいろと歌い、ようやく白糸の出番だ。白糸役の中嶋さんは女芸人らしく派手めの化粧、欣弥の母役の鳥木さんは、地味でやや老け化粧と、演奏会形式といえども、視覚的要素も多少は考えられているようだ。(どうせなら和服で出てほしかったな。)  日本を舞台にした、日本人による日本語のオペラは、やはり聴いていても、内容が分かるのがよい。イタリア語やドイツ語のオペラを聴いても、語学の苦手な私は「音楽だけ」になってしまうが、日本語のオペラなら、内容も含めて作品全体を楽しめるのだ。千住明のこのオペラも、メロディーも分かりやすくすんなりと耳に入るし、初めて聴くオペラ作品であったが、十分に楽しめた。というより、鳥木さんの嘆きのアリア、中嶋さんと高柳さんの最後の二重唱など感涙ものであった。

終演後に、指揮者に呼ばれて客席から千住明氏がステージ上に現れた。素晴らしい作品を素晴らしい演奏で聴かせてくれてありがとうの拍手を送る。出来れば、全幕を通して聴いてみたいと思った。

日本人作曲家のみの演奏会は、やはり楽しい。西洋のクラシック音楽も素晴らしいが、日本人としての感性が通じるのは、やはり日本人作曲家の作品の方だろう。いい気分で初台から新宿まで歩いていった。
0 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年08月>
日 月 火 水 木 金 土
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031