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2017年04月09日20:27

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【音楽】 アイノラ交響楽団演奏会 〜シベリウス

小雨降る天気であったが、こんな日はシベリウスの音楽がふさわしい、まあ、それはどうか分からないが、今日も演奏会に行った。アイノラ交響楽団の定期演奏会である。アイノラ交響楽団は、シベリウスの作品ばかりを演奏している東京のアマオケである。

今日のプログラムは次のとおりである。

 ・シベリウス:交響組曲「レンミンカイネン 4つの伝説」
 ・シベリウス:「報道の日」祝典のための音楽
 ・シベリウス:火の起源

   指揮:新田ユリ/バリトン:大久保光哉/合唱:合唱団お江戸コラリアーず
   会場:杉並公会堂 (13:30開演)

今年はフィンランド独立100周年の年で、シベリウス作品を演奏するアイノラ交響楽団としても、それにふさわしいプログラムとしたようである。フィンランド民族抒情詩「カレヴァラ」に基づく作品2曲と、圧制に苦しむフィンランド人が、愛国心のもとに集結した集会「報道の日」での舞台劇に付した音楽が、今日の演目だ。

1曲目は短めの曲から入る演奏会が多いと思うが、今日の演奏会は違う。いきなり、「レンミンカイネン」からはじまるのである。全部で演奏時間約50分に及ぶ作品で、最初から濃いプログラムだ。「レンミンカイネン」は「トゥオネラの白鳥」の美しく印象的な旋律が有名であるが、もちろん4曲とも素晴らしい。その割にはあまり4曲まとめて演奏することは多くない気がする。私も、前に尾高さん指揮N響で1回聴いたくらいしか記憶がない。そのN響の時も良かったが、今日のアイノラの演奏も、それ以上といってもいいもので、4つのそれぞれの情景が見事に表現されていた。やはり圧巻は「トゥオネラの白鳥」であった。コールアングレが素晴らしすぎる。アマオケのレベルを超えている。1曲目の、サーリの乙女たちとよろしくやって旅立つ場面、3曲目の、黄泉の国の不気味な雰囲気、4曲目の結局はハッピーエンドな帰郷の場面、それぞれが素晴らしかった。前半から濃厚なシベリウスである。

後半は「報道の日」祝典のための音楽から始まるが、これは初めて聴く曲だ。シベリウスのオーケストラ作品はかなり聴いていると思っていたが、未聴の作品もまだあって、こうやって聴けるのがうれしい。聴いてみると、初めて聴くはずなのに、聴いたことあるような気がしてならない。というより知っている曲のようだ。なるほど、情景1「ヴァイナミョイネンの歌」は「歴史的情景」第1番1曲目、情景3「ヨハン大公の宮殿からの情景」は「歴史的情景」第1番3曲目に、情景4「30年戦争におけるフィンランド」は「歴史的情景」第1番2曲目に、のちに改訂されてなったという。

そして、最後の情景6「フィンランドは目覚める」は、出だしを聴いた瞬間に分かるが、「フィンランディア」の原曲だ。微妙に「フィンランディア」と違うところもあるが(どこが違うのか明確に説明できないが)、ほぼ「フィンランディア」である。シベリウスの祖国フィンランドへの想いが詰まった作品が、のちに少し形を変えて、シベリウスの代表作のような「フィンランディア」になったという訳だが、このような形で聴くことができたのも貴重な体験である。これはもちろん、素晴らしい演奏があったからこそであろう。

続いて合唱団が入場し、指揮者の新田さんとバリトンの大久保さんが入場し、「火の起源」である。(男声合唱団のはずだが、女性が1人いたような気がする。プログラムにも、トップテノールに女性の名前がある。) 「火の起源」は大好きな曲であるが、生で聴くのは初めてだ。日本初演らしいが、もっと演奏されているのかと思っていた。前半はバリトンが歌い上げ、出番が終わると袖に引っ込んでしまった。後半は代わって合唱が加わる。10分くらいの演奏時間の曲であるが、これまた濃厚な聴き応えのある演奏で、素晴らしいとしかいいようがない。

合唱団が残っているので、合唱付きのアンコール演奏があるかなと期待していたが、それを2曲も演奏してくれた。最初は「レンミンカイネンへの歌」で、先ほど演奏した組曲「レンミンカイネン」の最後の曲との兄弟作である。朗々とレンミンカイネン讃歌を歌い上げたところで、もう1曲。最後は「フィンランディア」だなと思って聴いていると、微妙に違う。先ほどの「フィンランドは目覚める」とも少し違うなと思っていたら、あとで「報道の日」の「フィンランドは目覚める」(第二稿)であったことを知る。今日の演目とも関係したアンコール曲で、合唱も伴った2曲の演奏で会場は大いに盛り上がった。これを静かに締めくくるのはいつもの曲で、3曲目のアンコール演奏。弦楽とティンパニーだけで演奏される「アンダンテ・フェスティヴォ」で、落ち着いた雰囲気に戻して、演奏会を終えた。

特定の作曲家にしぼったオーケストラというのは、その作曲家に思い入れが強いだけに、しばしば感動的な演奏を生むが、アイノラ交響楽団も、まさにそのとおりである。今日の演奏会はいつにも増して、濃厚なシベリウスを堪能することが出来た。
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