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2015年11月06日10:04

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「抱く女」

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「アウト」「グロテスク」で衝撃を受けてから
桐野夏生作品の主だったものは読んでいますが、ずっと失望し続けています。
近年の「魂萌え」「ハピネス」「だから荒野」などは、感想を書く気にもなれない。
ちょっと心に残ったのは「柔らかな頬」「残虐記」「ポリティコン」くらいか。
最新作「抱く女」は
「この主人公は、私自身だ―。1972年、吉祥寺、ジャズ喫茶、学生運動、恋愛。
「抱かれる女から抱く女へ」と叫ばれ、あさま山荘事件が起き、不穏な風が吹く七〇年代
二十歳の女子大生・直子は、社会に傷つき反発しながらも、ウーマンリブや学生運動
には違和感を覚えていた。必死に自分の居場所を求める彼女は、やがて初めての恋愛に
狂おしくのめり込んでいく―。
揺れ動く時代に切実に生きる女性の姿を描く、永遠の青春小説。」
というamazonの説明に期待して読んだのですが…

このヒロイン直子が桐野さんだなんて信じられない。
聡明さはまるでなく、愚直で浅薄で救いようがない。
学生運動に飲み込まれる時代の波に反発するのは分かるが
無頼を気取りながら、結局勉強もせず、社会運動するわけでもなく、
バイトしながら男と寝ては、無意味に生きている。
中途半端に「女の自立」を叫んだりもしてるが、殆ど内容がない。

直子が中ピ連の会合に出たシーン。
”「権力は、私たちから、産む産まないの権利さえ奪おうとしている。
私たちは、ただの子産み機械じゃない。人間です、女です。
抱かれる女から抱く女へ、というリブのスローガンがありますが、それだけじゃ足りない。
抱く女の主体的権利を、これから奪い取って、強めて行く必要があります。
そのためにも、中絶理由から『経済的理由を削る』という厚生省の案は絶対に阻止しましょう。
皆でそのために闘いましょう。」
拍手が起こった。直子は暗い顔で俯いていた。
「抱かれる女から抱く女へ」
男を抱いたつもりだったが、私は単に「抱かれる女」でしかなかったのだ。
いや、女でもなかった。ただの便壺だったとうのか。
 この屈辱と怒りをどこにぶつけたらいいのか、わからなかった。
気がついたら、立ち上がって喋っていた。
「公衆便所って言葉があるじゃないですか。あたし、最近そんなことを言われて
頭に来てるんです。男は汚物ですか。じゃ、あたしたちは汚物を入れる便壺ですかって
思います。差別するにもほどがあります。
絶対にこんな言葉を許してはいけないと思う」”

いや、「優生保護法改悪と保安処分に反対する話し合い」と
直子の「公衆便所と呼ばれたことの私怨」は関係ないと思うのですけど。
片っ端から雀荘で知り合った級友と寝る貴女、
そう言われても仕方ないと思うのですけど。

終盤、直子はバンドボーイと恋に落ち、同棲するのですが
それは発情期のサルの行動のようなもの。
恋の行方は書いてありませんが、書かなくとも分かるということか。
若さゆえの愚かさを描いたというなら、それは成功しています。

「抱く女」 http://tinyurl.com/nk4arjz
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