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2015年09月26日20:12

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「職業としての小説家」

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この本、売られ方からして変わっていました。
紀伊国屋書店が初版10万冊の9割を出版社から直接買い取り、自社店舗のほか他社の書店に限定して
供給したのだそうです。
これは売れ残りのリスクを抱えることにもなるが、ネット書店に対抗するための策だったのだとか。
新聞広告を見た先週の販売初日、我家の近くの本屋にはありませんでしたが
その翌日の夕方にはありました。

中身は、自伝的エッセィ。
村上春樹がどうやって小説家になったのか、
小説を書くということについてどう考えているのか。
正直言って、もう氏の他の本の何処かで読んだことがあるような話
(あの有名な神宮球場の降臨の話にしても)が多いような気がするのですが
こうして大系的にまとめるということに意味があるのでしょう(きっと)。

基本的に「誠実に生きていくために心がけるべきこと」を淡々と語ってくれるような内容です。
ストイックでモラリストな著者の姿がよく出ているようではあるのですが
あまりにも偉い人になりすぎてしまったようで、ちょっと寂しい。
私としては、もっと無名の頃の、小説を書き始めたばかりの頃の、
女の子の扱いに戸惑って、ちょっと困った顔して「やれやれ」なんてつぶやいている、
隣にいるお兄さんのようなハルキ君、の頃の方が好きだったのです。
御本人もおっしゃってますが。
(どうがんばったところで)「すべての人を喜ばすわけにはいかない」って。

ジョン・アーヴィング(この人の小説も昔、好きでした)のエピソードが面白かったので
少々ご紹介を。
”昔、作家のジョン・アーヴィングに個人的に会って話をしたとき、彼は読者との
繋がりについて僕に面白いことを言いました。
「あのね、作家にとっていちばん大事なのは、読者にメインラインをヒットすることなんだ。
言葉はちょっと悪いけどね」。
メインラインをヒットするというのはアメリカの俗語で、静脈注射を打つ、
要するに相手をアディクト(ドラッグの常用者)にしちゃうことです。
そういう切ろうにも切れないコネクションを作ってしまう。
これは比喩としてはとてもよくわかるんだけど、イメージがかなり反社会的なので、
僕は「直通パイプ」という、より穏やかな表現を使いますが、でもまあ、
言わんとすることはおおむね同じです。”

大体、表紙からして凄い。
荒木経惟氏撮影の、大文豪のポートレイトみたい。
(実際、何度もノーベル賞候補にもなっているのだから、仕方ないのでしょうが)
かつて彼とよくコンビを組んでいた、安西水丸氏のポップなイラストなんかの
表紙の方がよかったなあ…
ああ、安西氏ももう亡くなっゃったのだった。

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