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2015年05月17日22:51

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【音楽】 オーケストラ・ニッポニカ演奏会@紀尾井ホール

今日はオーケストラ・ニッポニカの演奏会を聴きに行った。今日のプログラムは次のとおりである。

 ・芥川也寸志: エローラ交響曲
 ・三善晃: 交響的変容
 ・武満徹: ソリチュード・ソノール
 ・矢代秋雄: 交響曲

   指揮:野平一郎
   会場:紀尾井ホール (14:30開演)

今日のプログラムで取り上げられる作品に共通していることがある。日本人作曲家の作品であることはもちろんだが、実はすべて1958年の作品なのである。なぜ1958年なのか。1958年はさまざまな年齢層の作曲家が新しい作品を次々と発表した時期であり、演奏会前の野平氏(1953年生まれ)のプレトークによれば、「客観的に作品に向き合える年代」ということらしい。昔過ぎず、今過ぎずということだろうか。分かったような分からないような感じだったが、それは私としてはどうでもよくて、それぞれの個性が光る4人の作品を楽しみたい。

例によって、オケの女性奏者はカラフルな(基本は青系統のようだが)衣装に身を包んでいる。黒一色のオケとは、視覚的にも雰囲気が違ってよい。

1曲目は芥川の「エローラ」だ。これは以前も生で聴いたことがあるが、やはり何度聴いてもいい曲だ。インドのエローラ石窟院を見て感銘を受けた芥川が、そこからインスピレーションを得て作曲した作品だ。何やら荘厳な雰囲気で始まり、静かなレント楽章と激しいアレグロ楽章が入れ替わりながら出てくる。静と動の対比が激しく、動では打楽器は鳴りまくり、弦はうねり、管は吠える。実物のエローラ石窟院を見たことはないが、何かに圧倒されるような凄まじい感覚というのは伝わってくる。

そもそも、「静」そのものである石窟院を、「動」そのもの−発した瞬間に消えてしまう音による芸術−音楽で表現しているのだ。エローラ石窟院は、石を積み上げたヨーロッパの建造物ではなく、岩山を削り出して造られたアジアの建造物である。すなわち、この曲も、積み上げていく「プラス」の音楽ではなく、削り出していく「マイナス」の音楽ということである。まあ、そういう理屈はおいといて、演奏は素晴らしくて楽しめた。

2曲目は三善の「交響的変容」だが、この曲を聴くのは初めてだ。プログラムによれば、放送用に演奏されたことはあるが今回が舞台初演ということで、おそらく録音もない。初めてのはずだ。「9個の主題(!)が序奏で提示され、流麗に現れては消え、消えては現れるように奏される」らしい。その主題がいろいろと「変容」しながら展開していく。まあ、1回聴いただけではそんなことは分からない。曲を分析する必要もなく、素直に楽しめばよいが、実際聴いていても心地よかった。

休憩のあとは武満の「ソリチュード・ソノール」だが、これも初めて聴く曲だ。そもそも「タケミツは苦手」と前から言っているとおり、何枚かCDは持っているが、ほとんど聴いていない状態だ。比較的有名な作品も聴いていないと思う。今日もきっと聴くのが辛いだろうなと思っていると、意外とそうでもなかった。全体がゆっくりとしたテンポなのは武満作品全体に共通したことなのだろうが、生で聴いてみると案外と聴けるものだと思った。「聴かず嫌い」は良くないと思った次第である。

この曲には2本のギターも加わる。ステージにギターを持って奏者が現れた時に、なんだか不思議な感じがした。しかし、曲の中でもギターがあまり効果的に使われているようにも思えず、オケの音量に負けてほとんど聞こえない箇所も多かった。まあ、そういう曲なのだろう。

最後は矢代の交響曲だ。これはCDでは聴いていたが、生で聴くのは初めてだ。CDでは、第1楽章がなんだか捉えどころのないようで、「名曲なのかもしれないが、途中で退屈してしまう」曲であった。こういう作品は、生で聴くと印象が変わることが多い。CDでは分かりにくかった部分に発見があり、気が付けば、退屈するどころか、すっかり最後まで堪能してしまうのだ。今日もそうだった。第1楽章の静かな部分もしっかりと聴き取れるし、第2楽章はもともと耳に残りやすいが、今日も終演後、四ツ谷駅に向かう道で、テンヤ、テンヤ、テンテンヤ、テンヤ、と頭の中でずっと鳴っていた。CDでは音量を上げないと聞こえにくい第3楽章の始めの方は、コーラングレやフルートのソロだけで演奏されるが、結構印象的なメロディーであると、今さらながら気付いたりした。第4楽章は後半少し盛り上がり終了。

こうやって生で集中して聴くと、やはりこれは名曲なのだと改めて気付くものである。ちなみに、矢代の交響曲は昨日と一昨日、日本フィルの演奏会でも演奏されたらしい。すなわち3日連続で演奏されたことになる訳だ。

日本人作曲家だけの演奏会も、いや、日本人作曲家だけの演奏会だからこそ素晴らしいものだと思った。日本人作曲家にも、まだ聴いたことのない作品は多いが、機会があればもっと聴きたいと思う。

初夏の気持ちのよい天気の休日に、今日も素敵なコンサートを楽しむことが出来た。
このあとちょっと野暮用を済ませて、良い気分で帰宅した。
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