mixiユーザー(id:12784286)

2013年06月22日11:12

63 view

【音楽】 府中の夏 北欧の風音楽祭 (最終日)

昨日21日は、ステーンハンマル友の会による「北欧の風音楽祭」の最終日の演奏会に行った。会場は「府中の森芸術劇場」だ。今日は仕事は休暇を取っており、自宅から夕方ゆっくり行けるので楽だと思ったが、京王線で人身事故が発生し全線運転見合わせとなってしまった。もう少し出るのが遅かったら間に合わなかったかもしれないが、早めに出て正解だった。電車事故の影響で時間まで来られない人が多いとみて、開演時間を30分遅らせることになった。

演奏会の前に、地元府中の市民グループ「ノイ」によるハンドベルの演奏会がある。ショパンの前奏曲(某胃腸薬の宣伝で有名な曲)、オーバー・ザ・レインボウ、さくら、スウェーデンの讃美歌、などなかなかの好演。圧巻は最後のバッハ/グノーの「アヴェ・マリア」だ。ピアノの指の動きの代わりに次々にハンドベルを持ち替えては鳴らす訳で、もうすごいとしか言いようがない。「どうせ前座だ」とざわざわしていた会場の一部のオバサングループも、この時ばかりは黙ってしまった。まだ開演まで時間があるので、予定外の延長サービスで、ショパンの前奏曲と「アヴェ・マリア」をもう1度ずつ演奏してくれた。

【今日のプログラム】
 スウェーデン音楽の夕べ  「W.ステーンハンマルの芸術」

・ステーンハンマル:森の中で/娘は老いた母に尋ねた/薔薇へ/フィルギア
・ステーンハンマル:ピアノのための3つの小品
・ステーンハンマル:即興曲変ト長調
・ステーンハンマル:2つのセンチメンタル・ロマンス
・ステーンハンマル:ランプのアラジン王子/幸福の国への旅
・ステーンハンマル:弦楽四重奏曲第3番
・スヴェンセン(ステーンハンマル編曲):ピアノ五重奏のための「ノルウェー狂詩曲第3番」

Pf:和田記代、M−sop:向野由美子、Vn:鈴木千保、Vn:荒井絵梨、Va:山廣みほ、Vc:クラース・ガッゲ、

ステーンハンマルをじっくりと聴けるプログラムであり、これを見ただけも得難い貴重な演奏会であることが分かる。もちろんプログラムだけではなく演奏の方素晴らしいもので、1週間に亘った音楽祭を締め括るのに相応しいものだった。

満を持して最終日に登場したメゾ・ソプラノの向野さんによる歌曲から演奏会が始まる。ステーンハンマルが好きだと言っても、実は歌曲はかなり疎い。ステーンハンマルの歌曲のCDは持っていず、こういった演奏会で聴くのが今のところ唯一の機会だ。2年前の秋にも「森の中で」と「フィルギア」を初台で聴いているが、その時も向野さんのメゾ・ソプラノと和田さんのピアノだった。すなわち、ステーンハンマルの歌曲=向野さんの声、というイメージになっているのだ。今日も美しい歌曲を美しい声聴かせてくれた。ステーンハンマルの作品には美しい旋律が多いが、歌曲はまさにそれがぴったりとはまるのである。スウェーデン語は全く分からないので音楽として聴くだけになってしまうが、言葉が分かればもっともっと鑑賞の幅が広がるかもしれない。(と思っても、スウェーデン語を勉強する気はないくせに...)  

続いて、和田さんのピアノ独奏による小品を聴く。ステーハンマルは優れたピアニストでもあり、ピアノ作品にも素晴らしいものが多いが、今回演奏された「3つの小品」や「即興曲」のような小品もまた良い作品である。プログラムの解説によれば、「3つの小品」はもともと子供用の作品として書こうとしたらしいが、結果的に子供に弾き易いとは言えない作品になっているという。自分ではピアノは弾けないので分からないが、たぶんその通りなのだろう。

このあとは、ステーンハンマル友の会主催演奏会の定番曲の「2つのセンチメンタル・ロマンス」だ。この曲は何度聴いてもいい、美しくも感傷的な名曲だ。もともとオーケストラとヴァイオリンのための曲だが、ここではヴァイオリンとピアノによって演奏される。昨年は久保さん、今年は荒井さんのヴァイオリンで聴く。(次回は鈴木さんかな?)  じっくりとこの名曲を聴かせてくれた。

前半の最後は、再び向野さんが登場し、歌曲を2曲。最初に歌った美しい曲とはまた少し趣が違って、こちらは「楽しい曲」である。それぞれ、「ランプがなくなり魔法が使えなくなって慌てるアラジンを人々が嗤う」、「見知らぬ国で若い娘とよろしくやっていると、荒くれ者が現れて打ちのめされる」、という情景らしいが、そんな楽しい歌だ。向野さんの歌も素敵だが、ピアノの和田さんの表情も特に2曲目は楽しそうだった。スウェーデン語が分からなくても何の支障もなく楽しめた。(歌曲集「歌と抒情」作品26の中の2曲だが、「歌」を意味するVisorは、本来「軽い歌」に対して使う言葉らしい。)

後半は、いよいよ弦楽四重奏曲第3番だ。6曲ある弦楽四重奏曲のうちどれが一番好きかと問われると(問われることはまずないが)、どれも甲乙つけ難いということになってしまうのだが、今回生で第3番を聴いたことにより、第3番が浮上してきた。かくも素晴らしい名曲であったかと再認識したのである。特に第3楽章の美しさと言ったら! ステーンハンマルの弦楽四重奏曲では、現在の日本国内で望み得る最高の演奏が聴けたのではないかと思う。感動のあまり声も出ない演奏。これが聴けただけでも、今日を含めて4日行った演奏会は十分に満足だったと思える。それとともに、普段なんとなく自宅で流して聴いているだけであることを痛感する。やはり生演奏で集中して聴くと、全然違うのである。

今日は、「ステーンハンマルの作品に余計な解説はいらない。聴けば分かる」ということなのか、最初の3日間と違って曲の解説はなく進んでいたが、最後のプログラムの前に和田さんが今日初めてのトーク。すでに3回目になるこの音楽祭もだんだん充実してきて、今後も発展を期待出来るが、プログラムの作成やチラシのデザインも演奏家たちが自ら行い、会場スタッフは東京農工大ピアノ部のボランティアに頼るしかないなど、苦しいスタッフ事情の本音も。私個人としては賛助会員として、わずかながら支援はしているが、それ以上は難しいのは事実。

さて、最後はノルウェーの作曲スヴェンセンの作品だが、それをステーンハンマルがピアノ+弦楽四重奏のいわゆるピアノ五重奏曲に編曲したものだ。最近になって発見されたそうで、ステーンハンマルがアウリン弦楽四重奏団との演奏ツアーで演奏するために編曲したものだという。その演奏ツアーが取り止めになったため演結局奏されていない可能性が高く、今回が世界初演かもしれないとのこと。そんな貴重な体験をこの日本で出来るとはなんという幸福であろう。オーケストラで聴く原曲の良さを生かしつつステーンハンマル風味付けをした作品といえるだろうか。これもなかなか面白い作品である。

アンコールは、向野さんが再び加わり、今日の出演者全員で、合唱曲「スヴェーリエ」を編曲した曲を演奏。第二のスウェーデン国家とも言われるらしいこの曲で、1週間の音楽祭を締め括った。

今回感動的な演奏を聴かせてくれた演奏者達に感謝を述べたく、終演後に楽屋を訪問。結局いつもの(?)「濃い人たち」が集まって和田さんを交えて語りつつ、演奏会場をあとにした。雨はやや強くなっていた。京王線の事故の影響はまだ続きダイヤが乱れていたが、調布方面の電車が先にくることを確認し、調布乗り換え稲田堤ルートで帰った。(実は分倍河原経由南武線よりも早いルート?)

帰宅後も演奏会の感動が続いているような状態で、幸福な週末を迎えることとなった。

【参考】
・1日目
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1904742492&owner_id=12784286
・2日目
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1904830197&owner_id=12784286&org_id=1904742492
・3日目
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1904945417&owner_id=12784286&org_id=1904830197
4 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2013年06月>
日 月 火 水 木 金 土
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30