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2020年11月24日12:05

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小池和子『カエサル』

 小池和子『カエサル 内戦の時代を駆けぬけた政治家』(岩波新書、2020年)を読了。ガーイウス・ユーリウス・カエサルは貴族の家柄に生まれ、傍目には極めて順調に出世を遂げた。かなり自分のやりたい放題にしていたように見えたが、内心では自分に不満があり、劣等感すら抱いていた。
 政敵に妨害され続けて我慢を強いられているとカエサルは感じた。そういったのもを突き破り、自分の威信を守ってそれを誰よりも高めたいという気持ちがカエサルの原動力だった。彼は自分の威信を傷付けた者に対し、しばしば手厳しくやり返してきた。
 そのような精神は同等の競争相手がいる限りは好きなように発揮しても構わなかったろうが、皆の上に一人だけ君臨する立場になってしまうと、途端に嫌悪の対象となる。そのような嫌悪を引き受けることまでカエサルが覚悟していたかは疑問だった。カエサルはパルティアへの遠征を計画したが、それは山積みする困難な問題を棚上げし、人々の憎悪を沈静化させる狙いがあったと推測される。
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