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2019年10月13日08:22

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読書記憶回顧

 和田誠死去。イラスト、映画「麻雀放浪記」など、記憶している作品は多いが、愚生にとっての強烈な記憶は書籍になる。「お楽しみはこれからだ」を読んでから、映画を見ていないのにそのセリフだけを覚えているものは多い。
 「舞踏会の手帳」の、「あなたは今でも詩人なの」、「本当の詩人になった。一行も書かなくなったからね。」というやりとりは、今でもちょくちょく引用させて貰う。引用したくても出来ないのは「天井桟敷の人々」に出てくる泥棒紳士ラスネールのセリフ、「俺はいつかは飛ぶ首を、まっすぐ立てて歩いているのだ」だ。登場人物が特異すぎるか。
 考えてみると、原典に当たらずに孫引きで平然としているのは、時間の限られている人の一生では当然の行為なのかも知れない。ダイジェストの価値を、若い頃は理解出来なかったが、今となるとよく分かる。
 いずれにしろ、映画のセリフの魅力をたっぷりと味わった一冊だった。ご冥福を祈る。

  うたかたやときに見事な葛の花

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