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2021年08月04日07:57

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赤松明彦『ヒンドゥー教10講』

 赤松明彦『ヒンドゥー教10講』(岩波新書、2021年)を読了。一六世紀から一七世紀の南インドにおいて一元論的な傾向を持つ宗派が次々と成立した。こうした者たちは『ブラフマ・スートラ』への註釈を書くという共通の基盤の上に自分たちのアイデンティティーを据えようとした。
 そうした方向へと向かわせた原因の一つとして考え得るのは、厳然たる他者として立ち現れてきたイスラームの影響だっただろう。イスラームに対抗すべく『ブラフマ・スートラ』を根本聖典としてそれぞれが独自の解釈を競い合った結果として宗派が成立したのだ。一元論化の波によってシヴァ神やヴィシュヌ神は絶対的かつ非人格的なブラフマン、つまりヴェーダにおける最高原理と同一視されるようになった。
 そこでは宗派の個性は消え去り、全てヴェーダの伝統を引き継ぐ宗教としての「ヒンドゥー教」の内に包摂されることになった。その時に初めて「ヒンドゥー教」という全体概念が生まれた。「ヒンドゥー」という語は「ムスリム」との対比の中で使われていた。
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