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2019年05月26日17:03

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マガリ・クメール/ブリューノ・デュメジル『ヨーロッパとゲルマン部族国家』

 マガリ・クメール/ブリューノ・デュメジル『ヨーロッパとゲルマン部族国家』(大月康弘・小澤雄太郎訳、文庫クセジュ、2019年)を読了。ゲルマン人の諸部族がローマ帝国と接触し、ローマの西方社会では大規模な変容が起こった。しかし、ローマ世界は消滅したのではなく、ゲルマン人の軍の圧力で変容した。
 変容は様々なゲルマン人の王権によって完遂されたキリスト教化の勝利だった。後にカトリック信仰はローマ文化に代わり、ヨーロッパの様々な地に共通の要素となった。新しい国家は臣民を統率するために教会を頼り、中世の文明が最初の一歩を踏み出した。
 このプロセスは新しい民族的なアイデンティティの形成をもたらした。それは恐らくローマ市民権ほど流布しなかったが、このアイデンティティを中心として新しい民族がゆっくりと形成された。ゲルマン人の王国は昔の民族的なアイデンティティを継承したのではなく、彼ら自身が民族的なアイデンティティに新たな価値を見出した。
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