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2018年08月06日16:12

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ボリス・アクーニン『トルコ捨駒スパイ事件』

 ボリス・アクーニン『トルコ捨駒スパイ事件』(奈倉有里訳、岩波書店、2015年)を読了。十九世紀末から二十世紀初頭を舞台に繰り広げられる歴史推理小説の連作シリーズ。本作では一八七七〜七八年の露土戦争が描かれ、ロシア帝国の探偵ファンドーリンがオスマン帝国のスパイであるアンヴァルと暗闘する。
 アンヴァルは東洋と西洋が交差するオスマン帝国には偉大な可能性があったと語る。しかし、それはアンヴァルにしてみれば、既に失われたものでしかない。それでは、ロシア帝国に肩入れするのかと思えば、ロシアは西洋と東洋の悪いところを全て掛け合わせた不安定かつ愚かな国とアンヴァルから罵倒される。
 アンヴァルが西欧やアメリカ合衆国に輝かしい未来を見出している。後にオスマン帝国はアタテュルクを、帝政ロシアはスターリンを生んだが、ロシア人の作家アクーニンはどのような思惑を抱いてアンヴァルの言葉を書いたのだろう。なお、彼はプーチンに反発し、ロンドン市などに移住している。
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