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2018年07月31日20:08

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ミカエル・ロストフツェフ『隊商都市』

 ミカエル・ロストフツェフ『隊商都市』(青柳正規訳、ちくま学芸文庫、2018年)を読了。ロストフツェフは末期の帝政ロシアに生まれ、家庭環境の影響などから古代史を志した。また、近代的ブルジョワジーを有さぬロシアの史学者たちは農業史に注目していたので、ロストフツェフも古代社会経済史を主要な研究課題とした。
 しかし、ロストフツェフは文明や芸術、宗教などにも重要性を置いていたので、唯物史観に立つことには反対し、十月革命の後はロシアを去った。プロレタリア革命への憤怒をロストフツェフはローマ帝政時代などの研究に投げ掛けた。彼は都市を支える市民に古代世界のブルジョワジーを求め、自由な経済活動を営む都市生活者の没落によってローマ帝国は滅んだとした。
 以上のような観点は『隊商都市』の中にも色濃く生きている。ロストフツェフはペトラやジェラシュ、パルミュラ、ドゥラなどはキャラヴァンの隊長や貿易商人、金融業者らの隊商貿易に支えられた隊商都市であるとする。そして、隊商都市は戦争などで隊商路を選択する幅が狭められたことにより衰退していったとされる。
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