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2017年08月17日23:56

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[観劇]汝、気にすることなかれ/劇団地点

イェリネク原作。
鏡面のような舞台のうえに、舞台装置は古びた蓄音機が一台のみ。舞台の手間は芝生が張られた2段の階段になっており、白い花が植えられている。
手に手をとって入場してきた役者たちは皆白ずくめ、フードを被った姿はオバQめいてキュートでもあるが、手足に巻かれた包帯、頭や胸の白い花飾りとともに、実は経帷子を表している模様。
蓄音機からは断続的にシューベルトの楽曲が流れ、劇はその楽曲に合わせ、また楽曲によって寸断される形で進行していく。断片化され、痙攣し、もがき、叫び、というパフォーマンスはいつもの「地点」のそれだが、今回は元より一貫したストーリーが皆無な原作。むしろ三部作を一つにまとめ、それぞれの主人公、母=劇場女優/娘=白雪姫/父=さすらい人という枠組も解消されているため、難解さが解きほぐされることなく、むしろ難解さこそを煮詰めた印象がある。ナチズムとキリスト教が危うく交錯するスリルと、照明の美しさは見どころだが、原作を予め読んで向かってもなお呑み込み難い、これは難物だ。

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