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2017年06月19日23:24

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ハイファに戻って・太陽の男たち/G.カナファーニー

 36歳で爆死したパレスチナ人作家による短編集。

「太陽の男たち」
土の湿り気を全身で感じる男を描写して始まる、この短編はギラギラと照りつける太陽のもとでの砂漠行(クウェートへの密入国)をうんざりするほど克明に描いた末に、熱と渇きの果ての残酷な結末を迎える。声を挙げることなく死んでいった男たちの「沈黙」が、却って音無き大音響となって彼らの死を招いた密輸業者と、読者の胸中に鳴り渡るようだ。

「ハイファに戻って」
この占領者と被占領者の対話は、舞台劇にして見たいような静かな緊張に満ちて進行する。両者がともに最後まで理性的であるだけに、今はイスラエル人の養子となって国防軍に入隊したかつての長子の言葉が絶望的な響きを帯びる。「この家をとり返すには、戦争をしなければなりませんからね」
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