『TIGER&BUNNY』

　アニメの『TIGER&BUNNY』を視聴。作品の舞台は超能力者がネクストという呼称で登場した近未来のアメリカのような都会で、主人公の虎徹はワイルドタイガーなる芸名でヒーローを務めている。当初、ネクストは超能力を気味悪がられて差別されていたが、一部の有志がその能力でヒーローとしてテレビ番組において犯罪者を捕まえ、物語が始まる時代には地位の向上がかなり進んでいた。
　もっとも、番組が成り立つにはスポンサーが要り、その援助を得るには視聴率を稼がねばならず、虎徹やその仕事仲間たちは自己像とメディアなどが創る虚像のギャップに苦しむ。そして、その虚像には思わぬ企みが隠されており、それが話の中で徐々に明かされていく。ただ、自己像の方にも歪みはあり、自己にどう向き合うかがテーマとなっているように受け取れる。
　その点では個人的に虎徹とルナティックが良かった。ルナティックは虎徹がヒーローを目指す切っ掛けとなった人物に関わるダークヒーローで、自分はこのような因縁に弱い。ただし、全体として言えるのは、設定の作り込みに甘いところがあり、見過ごせない穴があるのは残念に思える。