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2015年11月23日08:04

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ユーリー・ストヤノフ『ヨーロッパ異端の源流』

 ユーリー・ストヤノフ『ヨーロッパ異端の源流 カタリ派とボゴミール派』(三浦清美訳、平凡社、2001年)を読了。中世にボゴミール派およびカタリ派というキリスト教の異端がヨーロッパの秩序を根底から揺さぶった。それら大異端の勃興はヨーロッパにおける諸宗教現象の底流を流れる二元論的な潮流の現れだった。
 古代のトラキアはギリシアよりも小アジアやイラン、スキタイなどの文化・宗教と近い関係を持ち、二元論の伝統があった。中世にはイラン系の諸遊牧民族が移動したことによってイラン的な二元論が流入した。そして、ビザンツ帝国が異端のパウロス派をバルカン半島などへ強制的に移住させた。
 七世紀が終わる頃、ブルガール人が異教の第一次ブルガリア帝国を建国し、バルカンの支配権を巡ってビザンツと競合した。ブルガリア帝国では様々な宗教的伝統の遭遇と融合が行われ、キリスト教に改宗してからも大異端が最初に勃興し、その尽きることのない源と見なされた。ブルガリアの文化的な到達点は西ヨーロッパにおけるカロリング文化と少なくとも質的に同等な好一対をなし、東西に広がった両翼は、北イタリアや南フランスにも届いた。
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