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2015年11月17日00:05

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鄭大均『日韓併合期ベストエッセイ集』

 鄭大均『日韓併合期ベストエッセイ集』(ちくま文庫、2015年)を読了。日韓併合の時代に生きた人々のエッセイを集めたアンソロジー。韓国系日本人である編者は日韓関係論や在日外国人を専攻する教授。
 戦後の日本は韓国や国内から日韓併合期の加害者性や歴史認識を批判され、却ってその時代を忌避している。そんな日本人が日韓併合期の世界を知るに当たり、日本人や朝鮮人がかつて海の向こうで見たり感じたりしたことを記したエッセイを読むのが有用であろうと編者は考える。多くは戦後に記された作品で、安倍能成や金素雲・李孝石の作品が多い。
 日韓併合期は今日の私たちが考えるほど良い時代でも悪い時代でもなく、「搾取」や「収奪」はこの時代を構成する一部に過ぎない。どのような時代や社会でも良い人や美しいものとの出会いはあり、本書は当たり前な日常の復権を試みる。作品は良きエッセイに特有な自由の精神を基準に選ばれている。
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