スポーツ映画の傑作って、数多ありますよね。
野球なら「がんばれ!ベアーズ」「春の珍事」。
アメフトなら「ロンゲスト・ヤード」。
陸上競技なら「炎のランナー」。
ボクシングなら「ロッキー」。
そんな中で、私が最も偏愛して止まないのがジーン・ハックマン主演の「勝利への旅立ち」。
1987年の公開当時、あまりの不入りで打ち切りになったため、観ている人が非常に少ないのですが、これがもう、実に感動的でエキサイティングな作品なのですよ。
1950年代初頭、アメリカはインディアナ州の片田舎にある小さな高校のバスケットボールチームが数ある強豪チームと戦って勝ち進み、見事州大会で優勝したという実話をヒントに作られた物語であります。
弱小チームの奮起と努力というのはスポーツ映画では鉄板の展開なんですが、そこに「負け犬の復権」ストーリーを二段重ねで突っ込み、さらにほのかなラブストーリーまで仕込むというサービスがあり、娯楽映画としては文句なし。
特に、かつて花形選手として鳴らしながら酒で人生を棒に振ったシューターという男のエピソードは落涙もので、演じるデニス・ホッパーのショボクレ芝居(本作でアカデミー助演男優賞ノミネート)がまた見事なんですな。
シューターがジーン・ハックマン演じるコーチ、ノーマンの尽力で立ち直り、チームの副コーチとなって試合の采配を振るうシーンなど、思わず身震いするくらいの素晴らしさでした。
公開当時のプログラムによると、チームのメンバー8人を演じた青年達のうち、6人が演技経験なしの素人だったというのが驚き。要するに、芝居の善し悪しよりも「本当にリアルなプレイができる人」が抜擢されてたんですね(あと、イケメン度が極めて高し)。
その甲斐あってか、試合シーンは迫力満点でしたね。編集によるゴマカシが殆どなく、まるで本物の試合を見ているような気分になりました。
そして・・・、忘れてならないのが音楽のジェリー・ゴールドスミス。
彼のスコアの素晴らしさが、作品の完成度を2倍、3倍にも高めていると言っても、これは言い過ぎにはならないでしょう。いやもう、本当に観る者の気分を上げて上げて上げまくる、躍動感に溢れた音楽なんですねえ。
今日はこの作品を観て、本当によかったです。気持ちが少し晴れました。
ログインしてコメントを確認・投稿する