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2020年04月08日10:08

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関川夏央&谷口ジロー作「『坊っちゃん』の時代第2部 秋の舞姫」を読んで

照る日曇る日 第1382回

第2部は明治42年6月3日、染井霊園における葬儀の場面から始まる。朝日新聞特派員として露都に派遣されていたが病を得て、急遽帰国の途に就いたがインド洋上賀茂丸で果てた二葉亭四迷の葬式である。受付は朝日新聞社の校正係の石川啄木。そこに森鴎外、夏目漱石はじめ数多くの明治を代表する作家たちが参集するのである。

その二葉亭にはペテルブルクに残した恋人があったが、同様に21年前、伯林の舞姫(エリス)を愛した森鴎外が本巻の主題となる。

明治21年9月21日、鴎外と交わした約束通り、恋人を追って単身来日したユダヤ娘エリス・バイゲルトは、本作では鴎外の母や家族の反対にもめげず、2人の愛を貫こうと孤軍奮闘するが、日本社会の家の伝統に呑みこまれた鴎外の背信に絶望して、翌月寂しく帰国した。

鴎外の「舞姫」は彼の自己処罰の作品であると作者は断じるが、鴎外の遺品からリンタロ・モリの頭文字を織り込んだエリス手織りの刺繍手巾が発見されたという。

   「自粛せよ、自粛せよ」とほざくなり引退すべき猪八戒が 蝶人


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