照る日曇る日 第1240回
アメリカを代表する作家の若き日の短編集だというので、早速読んでみたらなかなかおもしろかった。というか、さすがだと脱帽させられた。
主に彼の高校生時代の習作である。後から振り返れば習作かもしれないが、むしろこの若さでしか書けなかった輝かしい秀作の数々、と、むしろ表すべきだろう。
訳者も解説の村上春樹も、長所よりもその短所をあげつらったり、「上からの視線」で「天才作家の天才的習作」などとものをいうておるが、文句をつけるくらいなら、夫子自身で書いてみるがいいのだ。
最も遅い時期に書かれた表題作の「ここから世界が始まる」なんかより、私は「ミス・ベル・ランキン」「ルイーズ」「これはジェイミーに」「西行車線」が気に入った。
そして作品よりもっともっと気に入ったのはその当時のカポーティの写真だった。
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