闇にまぎれて tyojin cine-archives vol.1313、1314、1315
ロベール・ブレッソン監督の「少女ムシェット」
ベルナノスの小説を1967年にブレッソンが映画化。貧困、いじめ、孤独、家庭崩壊、暴行、そして絶望の自死。どこにも救いがない少女の肉体と魂の底の底まで、ブレッソンは冷酷にあばきだす。やはり神はどこにもいなのだろうか。
ブレッソン監督の「抵抗」
ゲシュタポに捕えられ投獄された死刑囚の決死の脱出行、暴虐への抵抗を淡々と描きつくす。真実を映像にとどめることがブレソンの願いであったが、ここにはその理想的な達成がある。
ロベール・ブレッソン監督の「バルタザールどこへ行く」
どこへ行くと訊かれてもバルタザールはロバであるからむやみに好きな所へはいけない。幼いときにはネコ可愛がりされたものの、長じるに従って過酷な現実に飲み込まれて言語に絶する労苦に苛まれ、最後にようやくその現世からの脱走が可能になるものの、流れ弾丸に当たって不慮の死を遂げる。そのバルタザールを可愛がった少年少女もろくなことにはならない。ま、それが我らの人世さ、と哲人ブレッソンはいいたげである。本作で映画デビューしたヒロインのアンヌ・ヴィアゼムスキーはひところゴダール映画のミューズに なったが、去年の秋70歳で亡くなった。
待ち待ちてついに桜は咲きたれど政界ばかりは真冬の寒さ 蝶人
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