「猫の吸い方」坂本美雨

ウチの三毛猫と同じ名前である。
美雨。ミュウ。美しい雨。
僕は未だに吸ったり出来ないし、のどを撫でようとするとかまれたりする。
体調がどうかなんて、調子の悪さを隠す野生動物の本能からして、よくわからない。

きっと外で自由になったらミュウは生きて行けないだろう。
ここに来て幸福なのかどうか、わからない。
しかし、ミュウが眠る姿は幸福そのものだ。
家族とはぐれたミュウの世界はここだけだと思うと、せつない。

しかし、人間もたいした違いはない。
少し同類が多く、行動範囲が広く、寿命が長いだけだ。
ミュウの家族として彼女を見守るのが、勝手にここに連れてきた者の義務だろう。