GODZILLA怪獣黙示録／大樹連司

　今月公開のアニメ映画版「ゴジラ」の前日譚。怪獣版「ワールドウォーZ」といった趣きで、インタビュー形式で語られる「怪獣」による人類滅亡史が、淡々としたドキュメンタリー調であるだけに、余計に凄まじい。ひとたび現れれば百万単位で人間を殺傷し、大都市を壊滅させる「怪獣」たち、そしてその中でも桁外れの脅威である怪獣王「ゴジラ」！という盛り上げ方がもう、ねぇ。善玉宇宙人の協力で一筋の光明と人類の反攻作戦もあったりするのだけど、それも所詮落してあげるという原作・虚淵先生の十八番に過ぎない、というか人類の地球脱出がそもそも原作の前提な時点で…。映画の方は、人類のレコンキスタを描く予定のようだが、汎用人型決戦兵器だかバスターマシンだか用意してこいつはどうにもならんのじゃなかろうか、という感想を抱かせた時点で前日譚としては大成功だろう。