mixiユーザー(id:4550802)

2017年10月26日23:42

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図書迷宮/十字静

 魔法学園に迷宮図書館、吸血鬼のヒロインと記憶喪失の主人公!とラノベ王道まっしぐらな素材を、複雑怪奇なメタフィクション様式に盛りつける、という無茶なことを、MF文庫最長の500頁の渡ってやってのける怪作。おまけに人称はゲームブックを思わせるような二人称、ときたもんだ。主人公の記憶が魔法書に書き込まれていく、という形式を採っていて、たびたび言及されるページ数が、この文庫自体の頁数と合致する、という凝った仕掛けにも痺れる。これだけ尖ったことをやっておいて、ファンタジーとしてもラブストーリーとしても、ミステリとしても、メタフィクションとしても全方位的にちゃんと面白く成立しているというのが一番スゴイところ。魔法の書物を使った一連のギミックだけでも、バトルアクションもの1シリーズ分くらいのアイディアが込められているのだから恐れ入る。残りページ(=主人公の記憶残量)が減っていくにつれ、プロットとシチュエーションの過密さもいや増し、主体・記憶・意味がギラギラと乱反射して酩酊するような読書体験、素晴らしい!
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