mixiユーザー(id:4550802)

2017年10月12日23:47

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徘句殺人事件/齊藤愼爾編

 「俳句」とミステリは相性がいいのかもしれない。具象的な現実を切り取る俳句の性質が、謎を解き明かす探偵の手つきに似るのかもしれない。実際、芭蕉や一茶を主人公に据えた新宮正春「旅の笈」、笹沢左保「虻は一匹なり」を始め俳人を探偵役に据えた作品が目立つ。また、短編小説の中からその主題を抽出する俳句、という手法が有効であるのも、本書を珠玉のアンソロジーたらしめている秘法であろう。五木寛之「さかしま」の骨太なポリティカル・フィクションも然り。同じく中村汀女の句を基にしても正逆の対照を成す塚本邦雄
と中井英夫の好一対も、アンソロジストの妙手を味わえる。

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