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2017年08月21日23:15

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十六歳のオリザの未だかつてためしのない…/平田オリザ

 当時16歳の平田オリザの世界一周自転車旅行記。これを早熟とは言うまい。この旅行は彼の人生の一過程でしかないのは、後の劇作家としての活躍を見ればこそ言えることだが、恐ろしいのは本文中で当人がそう断言していることだ。「この歳でこんなスゴイことしてる俺スゴイ!」みたいな若者特有の驕りが微塵もなく、冷静怜悧な考察が淡々と書き連ねられるのが空恐ろしい。唯一若さが垣間見えるのが、旅行記の合間に挿入された友人や親との手紙のやり取りで、これがまた旅行記以上に面白いのがズルい。普通、単身16歳でやり遂げた冒険の記録に、そんなもの挿入しないでしょう…自己陶酔とは無縁のオリザ少年のバランス感覚、ユーモア感覚よ。それにしても、こんな無茶な旅に送り出した息子宛に、北原白秋、高村光太郎、ダリに言及しつつ数学の勉強を進める手紙を出す父親というのも、相当な人物だと思う。
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