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2016年12月02日23:54

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ハリー・オーガスト、15回目の人生/クレア・ノース

 いわゆるループものだが、主人公を始め50万人に1人、何度も人生をやり直す「ウロボロン」「カーラクリシュナ」が存在して、「クロノスクラブ」なる秘密結社というか時を越えた互助会を作っている、というのが実にユニークな発想。集団の性質上、歴史を好き勝手改変するのはタブー、ということになり、また当然にそれに反発する異端児も出てくるわけで・・・。まわりまわって世界滅亡の日付がループを繰り返すたびどんどん近づいてくる、という、ループものならでは、そしてこのジャンルでもなかなか類をみない世界危機の有り様なのである。幾度もの人生を気ままに「回想」しながら進行する、屈折したプロットもいい。歴史改変の仕組みやその哲学的意義についてもっとツッコミがあってもいい、とは思うがそこはSFよりもドラマ重視で、文句のつけようのない面白さなのだから、それは野暮というもの。技術進歩の加速が不可避的に世界滅亡を早めるという意味でも反テクノロジー的、なのは女性作者だから、というのは偏見でしかなかろう。しかし後半がいかにラスボスの人に信頼されるかのコンゲームになっていて、揚句「何度生まれ変わっても君を見つけ出して守るから!」なんて「君の名は」ばりのクサイ台詞(男同士で!)言わせちゃうのは、ちょっと言い訳できないような・・・。

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