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2016年10月04日22:09

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アルヴァとイルヴァ/エドワード・ケアリー

 内向的な双子の姉妹のアウトサイダー・アートが、思わぬ形である町を救う…というメインプロットは、おそらくあまり重要ではない。冒頭で語られる、バスの中で死んだのは姉妹のどちらなのか、また彼女たちがいかにして町の英雄となったのか、というミステリ的趣向もまた然り。ここで語られるのは、孤独に縛り付けられた二人の姉妹の苦闘と、その表れとしての創造/模造行為なのだ。姉が世界地図を体に刺青するのに対し、より徹底して引きこもり気質な妹は、「エントラーラ」、本書の舞台であり彼女たちの牢獄である町を粘土で模造する。この小説でのテキスト上の架空都市の創造と破壊(そう、地震による町の破壊は幾度となく文中で予告されている)は、彼女たちの創造行為とパラレル、というよりはせめぎ合っているように思える。そして敗北を予感しつつも、それを続ける彼女たちの姿がなんとも愛おしい。

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