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2016年08月21日09:11

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ニュースの真相

 レッドフォードがあのダン・ラザーを演じた「ニュースの真相」が公開されていたことに今さらながら気づき、慌てて観に行きました。

 ブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑に係る誤報により失脚してしまったマスコミ人を描いた硬派の作品。「スポットライト 世紀のスクープ」とは逆の、苦い敗北の物語です。

 ガキの頃、私は「知り過ぎてしまった人間は消される」ものと思ってました。不慮の事故や病気を装った、謀殺という形で。
 今は違いますね。なにしろ殺しちゃったら逆に陰謀の存在を疑われるし、第一、死んだ者が殉教者やヒーローとして祭り上げられる可能性の方が大きいですから。それよりもターゲットの社会的信頼性を失墜させる方がより効果的。

 CBSの名アンカーマン、ダン・ラザーと、報道番組「60ミニッツ」のプロデューサーのメアリー・メイプスはまんまとその罠にかかってしまったのでした。周到に作られ、入手経路を「演出」されたニセ文書によって。

 観ていて感じたのですが、ここで描かれていることって、今、実際に日本でも起きていることなんですよね。
 政権によるマスコミへの恫喝と懐柔、不正確な情報を垂れ流し、バッシングの風潮を作りあげる保守系ネットユーザーの暴走、現場の報道陣を守らないメディアのトップ、政権に批判的なマスコミ人への見えない圧力等々。
 特に怖いのは下劣なネットユーザーによる「作られた」炎上。
 本作でもメアリー・メイプスに対するネット上の悪罵が画面に出て来ますが、「ビッチ」だの「アグリー」だのといった書き込みは、実際に書かれたものを一字一句変えずに再現したものなのだそうです。

 それにしても、事の細部だけを大げさに捉え、問題の本質を見なくなってしまう大衆って、いったい何なんでしょう。告発文書がニセモノであったとしても、ブッシュの軍歴詐称は明らかだったのに、なぜそこから目を逸らしてしまうのか。
 日本でも同じことがありましたね。毎日新聞による外務省機密漏洩事件。沖縄返還に絡む日米間の密約がいつの間にか男女の下半身問題にすり替わっていたという、有名な事件です。
 考えることをせず、簡単な結論にしがみつきたがる大衆の存在こそが、不正やウソをはびこらせる。これは国の東西を問わず、どこも似たようなものなんですね。

 
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