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2015年12月23日21:03

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南川高志『ユリアヌス』

 南川高志『ユリアヌス 逸脱のローマ皇帝』(山川出版社、2015年)を読了。ユリアヌスはローマ皇帝コンスタンティウス二世の副帝だったが、皇帝の敷いたレールから外れ、遂には彼に反乱して皇帝位にまで到達した。更に皇帝となって後は、前皇帝の統治から転換しようと図り、当時の宮廷の政治文化や規範から外れるような施策を展開した。
 また、宗教的な寛容を示すことでも前皇帝との違いを見せようとした。しかし、独自の哲学観と禁欲的な生活信条に基づき、伝統宗教の復興を実行に移したため、当時の一般的な都市民の感情から外れてしまった。このように生涯ユリアヌスは逸脱のごとき歩みを繰り返した。
 彼はコンスタンティヌス大帝やコンスタンティウス二世と異なり、当時のローマ皇帝らしく振る舞うことをしなかった。そもそも、ギリシア人を自称したユリアヌスが果たしてどの程度「ローマ人」、そして、その国の皇帝であると認識していたか。一度だけ彼がローマ人の皇帝らしく振る舞ったペルシア遠征は、唯一の逸脱行動ではない行為だったけれども勝利を挙げられなかった。
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