魔技科の剣士と召喚魔王／三原みつき

　学園異能・ハーレム・神話、とラノベの保守本道を見事にブチぬいたシリーズ第1巻。女の子の好感度挙げるとその子の所有魔法が使える(好感度ゲージまで表示される始末！)、なんて軟派な設定とは裏腹に、複数の神話体系が現実世界を浸食してきている、という設定はかなり重厚。デートしてる途中で普通に「プリママテリア」とか「アルカヘスト」とかマニアックなオカルト用語が飛び交ったりもする。ツンデレヒロインに腹黒巨乳な先輩、男子恐怖症のボクっ子剣士に毒舌エルフ、とかキャラ配置はあまりに適当(二重の意味でね)なのだけれど、それを補って余りある設定とストーリーの面白さがある。個人的にはもうちょいバトルやお色気シーンはじっくり描いてほしい、という部分もあるけど、反面変なところで細かい描写が入ったり(ドラゴンの殺し方とか)、変なギャグが入ったりと独特の緩急、軽重の使い分けがあるのも、イイ。一番ツボったのは１巻ラスボスとして降臨なされた北欧神話のロキさま。ガハハハハってエバって出てきておいて、あっさり主人公に斬り伏せられて泣いて帰るというｗレーヴァティンとか振り回してて、普通の小太刀に切り負けるなよ神！そんな情けなさっぷりが実に神話のロキそのものというか、今後もいいラスボスならぬいいトリックスターぶりで物語をかき乱してくれそうで楽しみです。