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2015年03月27日10:29

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今井雅晴『親鸞と歎異抄』

 今井雅晴『親鸞と歎異抄』(吉川弘文館、2015年)を読了。歎異抄は浄土真宗の開祖である親鸞が述べた言葉を門弟の唯円がまとめた書物とされている。唯円は東国の門弟で、東国は経済力が豊かな土地であって人々も教養があり、唯円も優れた学僧であって物事の説明が上手だった。
 唯円は歎異抄を周囲にいる門徒たちのために書き、無制限に他の人たちに見せるのを嫌った。歎異抄は唯円の門弟である唯善が開いた常敬寺が本願寺教団に帰順した時、蓮如の手に渡った。蓮如は内容に誤解される恐れがあるとして歎異抄を禁書扱いにしたが、江戸時代には木版刷りで出版されるなど比較的早くから公開されている。
 歎異抄は明治時代にその重要性が再発見され、更に第二次大戦後には第二次大戦に関する反省も含めて「悪いのは私、反省しなければ」という社会的風潮が後押しし、特に悪人正機が注目された。しかし、悪人正機説は親鸞に独特の思想ではなく、法然とその門下に共通する認識だった。ただし、「自力を捨てて他力に帰する」ということを強調したところに親鸞の特色があり、関東で彼は法然らと異なる境地に達した。
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