映画製作をテーマにした小説は相当数あるし読んできたけど、これは秀逸。ページをめくる手が止まらず、一気に読了。 映画作りは、ほんとうにいろんなトラブルとハプニングが起きる代物で、僕も散々体験してきた。でも面白い。 この小説を読んでもらうと、な
これはもう個人的にはベストの作品。女好きでいつも陽気に過ごしている初老のギャルソンを、イブ・モンタンが実に粋に演じてくれます。 パリの庶民的なレストランの様子、一筋縄ではいかない人間模様、常に恋している主人公の軽やかさ、どれもこれもがフ
いやー、いい小説だった。宮沢賢治がこんなにいい加減で地に足がついてなく、金の無心をする困ったちゃんだとは思わなかったし、父の政次郎が厳格な父であろうと努めながら徹底的に息子に甘い、優しい人だとも知らなかった。 自分のことしか考えず、好きに絵
今回は古本屋さんではなく文庫の新刊を購入。で、買ったのは、 「銀河鉄道の父」 門井慶喜(第158回の直木賞作品が早くも文庫化。宮沢賢治の父の視点から息子の生涯を描いたという構想に興味津々です) 「クランクイン」 相場英雄(映画製作の舞台裏を
劇場で三回観た、音楽映画の秀作です。監督のジョン・カーニーは、これまた名作「ベルリンの街角」を撮った逸材ですがこの「はじまりのうた」はさらにいい。 落ち目のプロデューサーが、あるシンガーと出会い、彼女の歌によってよみがえり、人生を取り戻して
こんな時期だからこそ、観たい、楽しい映画をご紹介。記念すべき1本目は、もう何度観たかわからない、ウディ・アレン監督、初のミュージカル作品。 ゴールデンホーンが、ジュリアロバーツがナタリーポートマンが歌って踊るのだからたまりません。さらに、
今回は少しエリアを広げて八幡をテーマに。「明日があるさ」の替え歌で「八幡があるさ」。どうぞ。 1 ケーブル駅で待ち合わせ 東京育ちのお嬢さん 山の上で僕の街を 君に見せたくて 夜景がきれい 歴史が豊か 公害も克服さ2 街に降りても
いつも行くジャズ喫茶、ペントハウスの人間模様を、書いてみました。「襟裳岬」の替え歌で、「ペントのみんな」ぜひ歌ってみて。 1 重い扉を開けて 店に入れば なじみの顔が並ぶ わけのわからない話 焼酎片手に 5時間喋る歯医者 奇声あげて
ガラス細工のように繊細で脆く、そして哀しく美しい心の触れ合いを見事な筆致で描いた小説だ。 幼児誘拐事件を縦軸に被害者と加害者という枠ではくくれない「世間からはみ出した人間たち」の揺らぎと哀しみが胸を打つ。 僕みたいに、世間とうまく折り合いの
ここ1週間ほど面白い本にめぐり合わず、また物色。で、買ったのは、 「抱く女」 桐野夏生(以前読んだんだけど、手元になかったので再購入。裏表紙の紹介文がなかなか秀逸なのでご紹介)女は男の従属じゃないー。1972年、東京、吉祥寺。ジャズ喫茶でア
イチゴ白書をもう一度のメロディーで歌ってみて。 1 夜の9時になると 人が消えてる アーケード走るのは 犬と猫だけ 昔は栄えてたと 涙ぐんでる 商店主(ぬし)の顔が とても哀しい 映画館があった 百貨店もあった 金儲けもできた 札
いつも行く美容室が博多・天神のため昨今の事情を鑑みて、歩いて5分の店にチェンジ。 女性オーナーがやっているお店で、お客さんはひとりずつというスタイル。彼女とは馴染みの酒場で会う顔見知り。飲みながら店の予約をし、カットをしてもらった。 話題は
好きな歌だ。すごい男がいたもんだ山でばったり出会ったら熊が裸足で逃げていく でもまさか、この歌詞通りの男がいるなんて。通称オヤジ。オヤジに会ったのは、NHKスペシャル「ヒグマと老漁師 世界遺産・知床を生きる」 オヤジこと、大瀬初三郎さん(84
夜10時くらいかな。スマホを耳に当てると「高坂さん、大丈夫?」とすわさんの声。「うん、元気」そう答えると、一瞬沈黙があり「……よかった」とため息のようにぽつり。 僕のガンの心配をしてくれての電話でした。すわさん曰く、「いや、もし症状が進んで
いやー、笑った、笑った。昨日の「全力脱力タイムズ」と今日の「さんまのFNSアナウンサー全国一斉調査」。 最近テレビもSNSもコロナばかりでイヤになってたんだけど、久しぶりにバラエティーのばかばかしさを感じさせてくれて、もともとテレビっ子の僕は楽し
作家が全体重をかけて書いた作品というのがある。恥も外聞も投げ捨てて己を徹底的につき放ち客観していく。奥底に歯ぎしりにも似たユーモアが流れる。 原田マハの兄ということで、久しぶりにその名を目にした著者は、麻薬で逮捕されていたという。流行作家の
買ったのは、「風神雷神 上下」 原田マハ(去年の11月に出たばかりの新刊がもう古本に。彼女が描く琳派の世界。やっと買えました) 「デンジャラス」 桐野夏生(谷崎潤一郎を桐野が描くとなれば、もちろん買い。帯のコピー、君臨する男。寵愛される女たち
一年の大半を自宅で原稿書いてる僕にとって、コロナ生活はあまり苦にならない。息抜きのひとり遊びもいろいろやってるので、ひとつご紹介。それは自分が住みたいと思ってる場所の不動産情報を見ること。たとえば京都に住みたいのならネットで賃貸マンション情
ここ10数年読んだ中で一番面白かったのは、同じ著者の「鳩の撃退法」とこの作品。小説の一番得意な分野というのは、奇妙な話と時空を自在に超えていく物語だと思っている。この作品にはその二つが共存している。第157回の直木賞受賞作。内容にはあえて触
彼女の出世作のひとつ。フツーのOLがスピーチライターになり言葉の力と格闘する日々を描いた物語です。政権交代を叫ぶ野党のスピーチライターになっていくという話がメインなので、原田マハさん特有の甘さが少し弱い気もするけれど、言葉を生業としている僕に
寅さんファンの僕としては、渥美さんに関する本は相当数読んできましたが、これほど愛情の溢れたエッセイは初めてでした。 大好きなテレビドラマ「俺たちの旅」で情けないサラリーマンを見事に演じていた秋野大作さんは、寅の舎弟、登役で「男はつらいよ」に
先日買った本が珍しくすべてイマイチだったので、リベンジ買い。「カヌーを待ちわびて」「本日はお日柄もよく」 原田マハ(安定の二冊。まだ未読だったので)「私が愛した渥美清」 秋野大作(名優が描いた渥美清の横顔、となれば面白いに決まってます)「久
こんな時期は読書、というわけで僕が読んで面白かった本を、随時紹介していくことにします。 まず第一弾は、昨日読み終えた小説。沖縄産のラム酒を作るために契約社員からベンチャーに挑戦し女性社長になるまでの実話を基にした物語。 主人子のまじむ(沖縄