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2020年04月11日09:58

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これは名作です。 「私が愛した渥美清」 秋野大作

寅さんファンの僕としては、渥美さんに関する本は
相当数読んできましたが、これほど愛情の溢れた
エッセイは初めてでした。
 
大好きなテレビドラマ「俺たちの旅」で情けない
サラリーマンを見事に演じていた秋野大作さんは、
寅の舎弟、登役で「男はつらいよ」にも何度も出演
されています。
そんな秋野さんでなければ見られなかった渥美清の
素顔が、見事な筆致で紹介されているのです。
たとえば……
 
秋野さんがテレビでの芝居に悩み(彼は俳優座出身)、
うまく演じられないとき、
渥美清は落ち込んで休憩をしている秋野の後ろで
鼻歌のようにへんな調子をつけてつぶやいた。
「テキドノォー、センストォー、リカイリヨクオ〜、
モッテェ〜、ナガレルヨウニ、ナガレルヨウニ〜」
 
肺病で入院し死を間近に見つめた渥美清に
秋野は意を決して尋ねた。
「病気になって人生観は変わりましたか」
渥美清は、とたんに、「グヘッ」と汚物を吐くような
声を発し、下からジロリと秋野を見て、低い声で言った。
「ンナコタア、アルワキャネェダロ、バアカ」
 
寅さん撮影の合間に何度も渥美清がつぶやいた言葉。
「山田洋次監督はインテリだから……」
 
などなど、他の本では見られないエピソード、
山田洋次監督の人となりにも痛烈な記述もあり、
いやー一気に読み終えました。
 
寅さん、渥美清ファンはもちろんのこと、
芸能に関わる人は必読の一冊だと思いますよ。


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