mixiユーザー(id:4550802)

日記一覧

 解説において作者の曰く、寺山修司との歓談中発案されたという、「斬新奇抜、一読哄笑、しかも心胆を寒からしめるような「現代いろはかるた」」。「い」=「イエスの恋文」に始まり、時にエッセイ、時にアネクドート、いずれも風刺毒舌の限りを盛り込んで、

続きを読む

 予告されていたとおり、あっさりと滅亡する地球。その直前にはお定まりの核ミサイル云々のイザコザもあるのだが、それすら直接には描写されず、もはや地球には戻れぬ、軌道上のサバイバーとしての視点を、読者も登場人物と共有することになる。そしてこれま

続きを読む

チェーホフ「カモメ」を1936年大日本帝国植民地統治下の朝鮮を舞台に翻案している。巨大なアーチ(ここに字幕が表示される)の下、足の踏み場もないほど新聞紙や家具、壺、ブロマイドなどで埋め尽くされた舞台が、客席に両面から挟まれているという異色の配置

続きを読む

 紅白のロープで方形に区切られた空間に鎮座する一艘のボート。やがてボートの下から一人の男が哄笑とともに這い出し、ゆらりゆらりと奇妙な浮動とともになにやら語り始める…。その胸には小さな日の丸が。また一人、また一人と船底から出てくる人々は、どう

続きを読む

人斬り以蔵/司馬遼太郎
2018年07月17日21:01

 表題作含め、歴史上ではマイナーな人物を取り上げた短編集。時代は戦国末期か幕末、転換期にあって時代の流れに乗り切れなかった敗北者の物語が大半を占める。だが、それぞれ屈折を抱えながらも、混迷の時代に己を全うした者たちの姿は、胸を打つ。大阪城戦

続きを読む

 キノコ小説アンソロジーという珍品、無事に後編も出てくれて有難い限り。「マタンゴ」的ホラーよりも菌類の不死性・永遠性への名状しがたい憧れを隠しきれない作品も多く、なんとも業が深い。ベスト2を挙げるなら、タイトルからして素晴らしい「オイスター

続きを読む

 シリーズ開幕から10年を経てたどり着いた最終章!!いやもう(物理的に)ヘビーすぎるライトノベル、とかそんなジャンルをぶっちぎって一個人による創作として前人未到の域に突入しておられる。惜しむらくは、これを十全に楽しむにはあと数世代発展した電

続きを読む

開高健原作、内藤裕敬脚本・演出。「かって、大阪のど真ん中に35万坪の荒野があった!」戦後の大阪を舞台に、旧陸軍工廠跡から廃材を盗み出すことを生業とする通称「アパッチ族」の生きざまを描く。舞台全面を使って構築されたバラックに、時に50人以上の

続きを読む

魔王の処刑人/真島文吉
2018年07月09日23:43

 「不死の水」を求め、魔の島へ挑む…という往年のTRPGのキャンペーンシナリオを思わせる設定が、もうたまらない。主人公の元・処刑人を始め、登場人物たちもちょっとラノベ離れした陰影をもって描かれていて、これから本格的に始動するであろう冒険譚の奥行

続きを読む

IQ/ジョー・イデ
2018年07月06日21:31

 街のトラブルを解決する、モグリの探偵アイゼイア・クィンターベイ・通称「IQ」を主人公としたミステリ。探偵「IQ」の誕生とその動機を描く過去編と、ラッパー殺人未遂事件を追う現在パートが交互に展開されるが、あまりその構成の妙は感じられない。全体を

続きを読む

創元文庫年間日本SF傑作選。今回は全体的に新進よりベテランが目立つ。筒井康隆「漸然山脈」は圧倒的にベストで、次点は新井素子「階段落ち人生」だろう。眉村卓「逃亡老人」は…こういうのでSF界隈の高齢化を突きつけられるのは辛い、としか。山尾悠子「親水

続きを読む