「どんなにこの世が無常であっても、去って行ったもの、今あるもの、これからあらわれるもの、名のあるもの、未だ名づけのされていないもの、すべてをひとしく見ていたい」と願う作家の「場所」にまつわるエッセイ。作家のエッセイは1.自分の感覚とは違うし、
同僚と、どちらかが死んだらPCデータを消しに部屋に入ろうと、鍵の交換をする。それが現実になるという話だがフセンゼロなので、印象深いところなし、ってことで。
行方不明だった夫が、死者として3年ぶりに戻ってくる。妻は夫とともに、夫の旅をともに旅する(夫は繰り返す)。「死者にとっては懺悔の旅であり、生者にとっては失ったものを取り戻す回復の旅であり、もう何によっても分かたれることのない繋がりを得る、生
向かいのアパートの部屋を覗く日課の女。目の前の人にも「目の前にはいても、この人たちはどこか遠いところにいる。投げつけた言葉からこぼれる私の気持ちは、むなしく宙に浮かんで、誰にも摑んでもらえないまま消えてしまう。この人たちはいつだって見
イラクには戦争関連の仕事がある。貧しい国の男たちにとっては魅力的だ。そこに安田は取材目的で潜入する。それだけで、常人じゃあないと思う。昨年暮れのシンポジウムでの、何か所在なげな感じを思い出す。ジャーナリストの指名感に突き動かされて身体を張る
道東の極貧の開拓村で生まれ、15歳で偶然観た旅芸人一座と行動を共にし、そこで出会った男の子を産み別れ、流れ流れて、人生の最期に、その男に看取られる。姪は思う。「わたしたちは今、願っても探しても、これから先どう生きてゆこうと、決して手に入らない
「こんなにも、地球のことを知った利口な人間が、どうして、地上で、まだ戦争をして、殺し合いなどするのだろう。そんなばかげたことを、どうしてやめさせることが出来ないのか。考えると不思議なくらいだ。しかし、人間が自分自身のこころを充分に知ることが
今にも死にそうな独居老人を観察する子供たちという、なんとも奇妙なでもありそうな話。死に際の犬が「僕のことを大きな黒い目でただ見ていた。不安そうに。そしてその不安が僕にはすごくよくわかった。僕も不安だったのだ。突然、何か大切なものが自分をおい