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2008年10月24日20:51

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新藤兼人『石内尋常高等小学校 花は散れども』

10/21(火)、コンサートを目的としてmacchaさんと静岡へ出かけた折、折角だからと、シネ・ギャラリーで映画を1本観た。
新藤兼人の新作『石内尋常高等小学校 花は散れども』である。
新藤95歳の作品との事で、関係者にしたら縁起でもないと言われるだろうが、これが最後になるかもしれぬという思いがあったのは、正直なところだ。

しかし、とんでもない、新藤は全く枯れていない。
それが、観ての感想の第一だ。
まだ、言いたい事がいっぱいあって、それが映画に溢れている。
瑞々しい愛とエロスのテーマもそこには含まれている。

あれも言っておきたい、これについても言い遺しておきたい、そんなテーマの量としても、性に対する感受性の若々しさ、そんな質的な面からしても、新藤はまだまだ老境と呼ぶ域にない。
教育の問題,教師に求めるもの,師が子の人生に与える影響、戦争の問題,戦争が人間に及ぼすもの,特に原爆、そして愛とエロス,人を突き動かす原点としてのエロス、等々、今回に限って言えば、それらテーマはストレートに点描され、あまり深まる事無く、いつの間にか次のテーマへ次の問題へ移っていってしまう。あの新藤の1点を執拗な迄に突き詰めてやまない、そんな圧倒的な強い姿勢は感じられない。
世に言い遺しておきたいという事共が、胸に、頭に、あまりに多過ぎるのだろうか。

それらを整理して、もう1作作って欲しい、新藤でしかできないものを、世に遺して欲しい。私もそれを是が非でも観たい。

監督 新藤兼人
原作・脚本 新藤兼人
音楽 林光
出演 柄本明,豊川悦司,六平直政,大竹しのぶ,川上麻衣子 他

それにしても、彼の映画に積み重ねてきたものの大きさには圧倒される。
監督作品の48本の濃さにも驚くが、特にシナリオの膨大さには驚嘆する。映画化された総数233本。これは彼のシナリオ創作全数ではない、映画化されなかったものも相当数あるだろうから。
他の監督に捧げられて名画となったものも本当にたくさんある。新藤のシナリオを使った監督の名を挙げると、マキノ正博,溝口健二,吉村公三郎,成瀬巳喜男,今井正,五所平之助,川島雄三,増村保造,山本薩夫,鈴木清順,深作欣二,野村芳太郎,藤田敏八,市川崑,神山征二郎,和田勉、等々、日本の映画史を見るかの思いに浸る程だ。
 
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