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2026年07月27日09:59

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映画「トロフィー」

ソヒ(恒那)は、東京の朝鮮学校に通う女子中学生で在日4世。父(井浦新)は、その学校の校長を務め、母(市川実和子)は、介護の仕事をしながら家計を支えている。

朝鮮学校と地元の日本の中学校との交流会があり、ソヒは同じBTSファンだというみらい(梨里花)と意気投合し、すっかり仲良くなる。
BTSのライブに行くのが夢のソヒだが、まず、ファンクラブに入らなければならない。
だが、ソヒの家は、決して経済的には裕福ではないのだ。

みらいはソヒに「フリマで不用品を売ったら?」と提案。
ソヒは家の中をさがし、北朝鮮の歌が収録されたCDを見つけた。佐都子(YOU)が店主の甘味処に行って、CDをスマホで撮影してネットにUP。
意外にも高値で売れて、ソヒはファンクラブに入会することが出来た。

ソヒは学校では朝鮮舞踊をやっているが、主役はリョニが踊ることになっていた。
大会に向けて、指導の先生(ちすん)の厳しいレッスンが続く。

ソヒの父は、ソヒの弟が「北朝鮮」と言うと「ウリナラ(日本語では「我が国」)と言いなさい」と叱責する。
テレビでは北朝鮮がミサイルを発射した、というニュースが流れ、弟は「北朝鮮って悪い国なの?」と素朴に尋ねるのだ。

ハングル文字で自分の名前がアップリケされたポーチが、自転車のかごに丸見えになっていると、無意識に隠すソヒ。制服はチマチョゴリではなく、普通の女子高生風の、ベストと短めのチェックのスカートだ。
みらいが自分の家に遊びに来たとき、ソヒは父にはとっさに「みらいも在日なの」と嘘を言ってしまう。
母は分かっていたがそんな母にソヒは「日本人だと、アッパ(おとうさんのこと)がいい顔しないから・・」とつぶやく。

朝鮮学校は入学者も少なく、校長の父は在日の仲間の家を回って、必死に勧誘を続けている。
ソヒは「在日だからっていやな思いはしたことはないよ」とみらいに言いつつも、どこか屈託を抱えていた。

BTSのチケットは高額だ。
もっと何か売れるものはないか・・ソヒは父の部屋にあった箱入りでいかにも立派そうな「勲章」をフリマで売り、チケットが買えるお金を手にする。
しかし、すぐに勲章がなくなったことが知られ、ソヒは母に問い詰められる。
「祖国に貢献した人にだけ贈られる」というものだったらしい。

「これと同じものを持っていない?」。
ソヒは祖母(白川和子)のところに行き、焼肉店を営む叔父(山中崇)にもたずねるが、祖父が持っていた勲章は葬儀の時に棺に入れて焼いたと言う。

リョニが足をくじいてしまい、舞踊の大会に出られなくなったことで、ソヒが主役をやることに。しかし、どうにも練習も上の空で、先生からもそれを指摘されてしまった。

みらいの実家は鋳物工場をやっている。
画像をもとに、これと同じものをつくってくれないかと、みらいは祖父(きたろう)に頼むが、職人気質の彼は「コピー」など作る気はさらさらない。

ソヒとみらいは「北朝鮮愛好会」なる集まりがあることを知り、そこへ行ってみるが、そこはイデオロギー的に北朝鮮に共感する、などというものではなく、むしろキッチュなものとして北朝鮮の文物をギャグにして笑う、という感じの人たちだった。
父の勲章を返却してもらえるかも、と思って行ったソヒも、そしてみらいもうなだれて帰って来る。

家の洗濯機が壊れてしまい、母とソヒはコインランドリーを往復する。洗濯機を買い替えるゆとりもないのだ。ソヒはそっと、勲章を売ったお金を母に差し出した。

父はそんなソヒをもう怒らなかった。そして舞踊大会に出る彼女を励ますのだった。

いよいよ大会の日。
みらいも見に来ていた。
ソヒは手づくりの華やかな衣装を身にまとい、せいいっぱい踊る。
結果は銀賞。しかしソヒが受け取ったそのトロフィーは、両親にとっては、勲章以上の価値だった。


在日の若者の青春を描いた映画、といえば「パッチギ!」や「GO」が浮かぶが、2020年代のいまは、もう在日4世の時代だ。
日本人の女の子と「BTS」ファンということで一気に距離が縮まって仲良くなるところなど、いかにも現代的である。

しかしながら「朝鮮学校」は経営的に厳しいものがあり、ときにヘイトの矛先になるのも現状である。
映画では「ふたりの女の子の友情」がメインテーマながら、丁寧に、朝鮮学校、在日の背景を象徴的なエピソードを交えて描写している。
そしてソヒが大会で踊る、朝鮮舞踊のシーンが圧巻である。

最初、タイトルとあらすじを聞いた時、「トロフィー」とは売ってしまった勲章のことかと思っていた。だが、ソヒの受け取った銀賞のことだとわかり、それを両親に見せるシーンでは、涙がにじんでしまった。

ついでに、タイトルロゴは、わかる人にはわかるが、敢えてハングル文字を生かしてカタカナに似せたもの。うまいアイデアだと思う。

この映画のことを、やはり朝鮮学校出身の在日3世の友人に伝えると「わたしも見に行きたいと思ってた映画なんです」と返信が。彼女の感想もまた聞いてみたい。
(7月24日、KBCシネマ)
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